四国の一部では、結婚せずに長く実家で暮らしている女性を蕎麦種(そばだね)と呼ぶそうです。
どうしてそのように呼ばれたのでしょうか?今回調べてみたので紹介したいと思います。
蕎麦は短期間で収穫できる=種の状態が長いから

昔から「蕎麦は七十五日」と言われ、蕎麦は種まきから約2か月半という短期間で収穫できることから、蕎麦種の状態で自宅に保管される期間が長くなりがちです。
そこで未婚のまま実家で暮らしている女性をこれに擬(なぞら)え、彼女たちを蕎麦種と呼んだのでした。
【使用例】
A「Bさんとこの息子さんに、いい相手はいないかね」
C「それなら、Dさんとこの娘さんはどうだい」
A「いいね。あの蕎麦種も、そろそろ畑にまいてやった方がよかろう」
C「さっそくBさんとDさんに話を通すか……」
こんな会話が繰り広げられていたorいるのかも知れませんね。
ちなみに未婚女性を「蕎麦種」と呼ぶのは香川県の仲多度郡(なかたどぐん)や三豊郡(みとよぐん)など。その周辺地域でも使われているのでしょうか。
蕎麦の種は黒くてゴツゴツしているから

また愛媛県北宇和郡(きたうわぐん)でも、未婚女性を「蕎麦種」と呼んでいるそうです。
ただしこちらの理由は先ほどと異なり、蕎麦種が黒くて角張っていることから、醜い女性を意味しているとも言います。
女性は色白でふっくらしているのが美しいとされるため、色黒でゴツゴツしている女性は醜いとされ、敬遠されてしまったのでしょうか。
また伊予地方では未婚女性を「蕎麦娘(そばむすめ)」とも言うそうですが、この蕎麦娘には「未婚のままで次々とパートナーを変え、子供を生む女性」という意味もあると言います。
その意(こころ)は、蕎麦は次々と花を咲かせて実を結ぶからだとか。
また栃木県那須郡(なすぐん)でも晩婚の女性を蕎麦娘と呼ぶことがあるそうです。
終わりに

今回は四国地方のことわざ「蕎麦種」+「蕎麦娘」について紹介してきました。
知識として含んでおくにとどめて、実際クチにするのはおすすめできませんね。
とかく女性の形容詞としてはネガティブな印象の蕎麦ですが、結婚した暁には「細く、長く、ずっとそばで」夫婦の絆が続いてほしいものです。
※参考文献:
- 新島繁『蕎麦の事典』講談社学術文庫、2011年5月