第44回放送「空飛ぶ源内」に登場した戯作『一人遣傀儡石橋(ひとりづかい くぐつのしゃっきょう)』。
そこにはかつて一橋治済(生田斗真)によって焼き捨てられた(その火で薩摩芋を焼いていた)亡き平賀源内(安田顕)の草稿……の続編がつづられていました。
この物語は、平賀源内本人でなければ到底書けないはず……これを読んだ蔦重(横浜流星)は源内生存説を確信します。
残念ながら、この『一遣傀儡石橋』という戯作は実在しない(フィクション)みたいですが、果たしてどんな物語なのでしょうか。
NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」より、知り得た限りをまとめました。
『一人遣傀儡石橋』の登場人物

- 七つ星の龍(りゅう)
本名は星野七左衛門(ほしの しちざゑもん)。
着けた者を次々と死に至らしめる「死を呼ぶ手袋」の謎に迫る主人公。真犯人をあと一歩まで追い詰めるが、返り討ちに遭って命を落とす。
モデルは田沼意次(七つ星は家紋の七曜、龍は幼名の龍助より)。
- 源内軒(げんないけん)
本作の主人公。龍の古い友人で、力を合わせて「死を呼ぶ手袋」の謎に迫る。命を落とした龍の仇討ちに立ち上がる。
- 傀儡好きの大名(くぐつずきのだいみょう)
「死を呼ぶ手袋」事件の真犯人。モデルは一橋治済(劇中で傀儡を使い、次々と邪魔な存在を暗殺している)。
『一人遣傀儡石橋』タイトルの意味は?
一人遣:一人で(傀儡を)操っている。
傀儡:操り人形。
石橋:能に由来する獅子踊りの一つ。
舞台の上で独り、真犯人が傀儡のように人々をきりきり舞いさせている?そんな意味合いが感じられます。
『一人遣傀儡石橋』本文(一部)
近ごろ御江戸の噂でハ死を呼ぶ手袋……
……風説を満き散らしつゝ人殺しされども鬼畜の悪行尓気づきし男一人阿りその名ハ星野七左衛門二つ名ニ而ハ七ツ星七ツ星の龍にとぞ呼ばれける驚く勿れこの悪党その龍こそか数多なる人■殺免候と話しをすり替へ己か身を隠す所存尓御座候まさに危うし七ツ星そのと記彼を救ふへく旧き友なる源内軒龍か急場に現れて二人揃ひて悪党を懲しめ倒す物語り龍と源との二人に面■こと痛快敵討ち幕ハ開かれ候也
※一部判読不能や推測で当てはめた文字もあります。

『一人遣傀儡石橋』に同封されていた書状
開版のそミ(望み)さふらはゞ(候わば)
八日申(さる)の刻安徳寺に
お越しあるべく候
【意訳】(この草稿の)出版をお望みでしたら、(月不明)8日の夕方4:00ごろに安徳寺までお越しください。
こんな事が書いてあったら、誰でも源内に会えると期待してしまいますよね。果たして蔦重が安徳寺へ赴くと……。
終わりに

待っていたのは松平定信(井上祐貴)・柴野栗山(嶋田久作)・高岳(冨永愛)・三浦庄司(原田泰造)そして鬼平こと長谷川平蔵(中村隼人)。
「何で?」
蔦重の疑問は無理もありませんが、みんな「傀儡好きの大名」すなわち一橋治済に一矢報いたいと願い、宿怨を乗り越え集結したのでした。
果たして蔦重はこれに加盟するのか否か、果たせなかった仇討ちをどのような形で成し遂げるのか……最終盤に向けて、目が離せませんね!

