桜(さくら)と言えば日本を象徴する花で、春の風物詩として多くの日本人に愛されています。
ところで、桜はどうして「さくら」と呼ばれるようになったのでしょうか。今回は桜の語源について調べてまとめました。
花見の席などで、雑談のネタにでもなれば幸いです。
咲く姿の美しさ、神々しさに由来?
桜の語源には諸説あり、例えば以下のように考えられています。
「咲く」に接尾語の「ら」がついて「さくら」説
この接尾語「~ら」には(1)親愛の意(2)語調を整える、などの意味があるそうです(他のそぐわなそうな意味は割愛)。
(1)だと「咲く姿に親しみを感じる愛らしい花」、(2)は単に「咲くら花(語感の収まり)」。花が咲くのは当たり前ですが、どの花よりも咲く姿の美しい(と多くの人々が感じるであろう)この花をこそ「さくら」と呼んだのかも知れませんね。
田の神「サ神」のおわす神座(くら)であったから「サくら」説
日本人の主食である米作りには神様への信仰が不可分であり、春になると稲作の神様「サ神(さがみ、さのかみ)」が山から里へ下りてきて、桜の木に鎮座されます。
桜の開花はサ神がいらした証しとされ、お座りになる神座(かみくら、かむくら)だから「サくら」と言うとか。
ほか皐月(さつき、5月の旧称)や早乙女(さおとめ。田植えを行う女性)もこのサ神に由来すると言われますが、反論もあるようです。
その他の説
記紀神話に登場する女神「木花咲耶姫(コノハナサクヤビメ。山神の娘)」のサクヤが転じて「さくら」になったとする説や、麗らかな春に咲くことから「咲麗(さきうら)」が訛ったとする説などもあります。
皆さんは、どの説だと思いますか?
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日本の野生桜11種類
ところで、現代「桜」と言えばソメイヨシノ(染井吉野)がお馴染みですが、同種は江戸時代に品種改良されて出来たもの。
日本では11種類(または10種類)の桜が野生種として自生しており、うち5種類は日本にしかいない固有種として知られています。
【日本の固有種】
- オオシマザクラ(大島桜)
- クマノザクラ(熊野桜)
- チョウジザクラ(丁子桜)
- マメザクラ(豆桜)
- ヤマザクラ(山桜)
【日本の野生種】
- エドヒガン(江戸彼岸)……朝鮮・済州島
- オオヤマザクラ(大山桜)……ロシア沿海、中国、朝鮮半島など
- カスミザクラ(霞桜)……中国、朝鮮半島など
- タカネザクラ(高嶺桜)……千島列島など
- ミヤマザクラ(深山桜)……ロシア沿海、中国、朝鮮半島など
- カンヒザクラ(寒緋桜)……台湾国、中国など(外来種の疑義あり)
一口に「さくら」と言っても、日本の野生種だけでこんなにたくさん。また栽培品種も数百以上存在すると言われており、これは世界的にも圧倒的多種を誇ります。
さすが日本を象徴する花。私たち日本人も、桜の美しさに負けぬよう、その心身を磨き上げたいものです。
桜(サクラ)基本データ
生物学分類 |
植物界(Plantae)被子植物門(Magnoliophyta)双子葉植物綱(Magnoliopsida)バラ亜綱(Rosidae)バラ目(Rosales)バラ科(Rosaceae)サクラ亜科(Amygdaloideae)サクラ属(Cerasus)サクラ亜属(subg.Cerasus) |
花言葉 |
「精神の美」「優美な女性」「優れた教育」 |
生息分布 |
北半球の温帯を中心に棲息(日本、中国、シベリア、北米など) |
※参考文献:
- 『さくら百花事典 あなたも桜博士になれる 桜花爛漫』婦人画報社、1993年3月
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