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蔦重の地口「大当たりのコンコンチキ」とは?コンコンチキの謎に歴史ライターが迫る!【大河べらぼう】

伝承民俗
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NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」皆さんも楽しんでいますか?

蔦重(つたじゅう)こと蔦屋重三郎(横浜流星)たちの熱演と活躍、巧みな脚本が評判を呼んで、ジワジワと盛り上がっているから、まだ観てない方も合流しておきましょう。

さて、そんな第10回放送「『青楼美人』の見る夢は」で、蔦重がお得意の地口(じぐち。江戸っ子ジョーク)を飛ばしていました。

田沼意次と謁見する蔦屋重三郎。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。

「大当たりのコンコンチキでございます!」

このコンコンチキって、現代ではあまり聞きませんが、たまに使う方がいますね。

今回はこのコンコンチキとは何なのか考察し、その謎に迫って行きたいと思います。

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コンコンチキにまつわる諸説

コンコンチキという言葉の由来については諸説あるようですが、いつ・誰が言い出したのかはハッキリと分かっていません。

そりゃそうですよね。法律用語でもなければ、特に流行語とかでもなさそうなので、いつ誰ともなく言われ始めたのでしょう。

なので独自に調べ回って見たところ、こんな説?憶測?が集まりました。

コンコンは狐の鳴き声?(イメージ)
  • コンコンは狐の意味である?
  • コンコンは咳払いの意味である?
  • 雪がコンコンと積もる?
  • 水が滾々(コンコン)と湧き出る?
  • 懇々(コンコン)とお説教する?
  • コンコンは「来ん来ん(来ない)」の意味である?
  • チキはチキショー(畜生)に由来してそう?
  • そう言えばコンチキショー(この畜生め!)と言う罵倒語がある。
  • あとトンチキ(頓痴気、頓稚気)という言葉もあった。
  • 高慢チキのチキは痴気?稚気?それとも畜生?

他にもコンコンを分解してコン+コン(前後で意味が異なる同音異義語)の可能性もありますが、ひとまずはこのくらいにしておきましょう。

果たしてどれが正解なのか、きっと誰に聞いても分からないと思います。

が、ここではあくまで仮説の一つとして、コンコンチキの謎を突き止めて行きましょう。

結局コンコンチキとは?

とまぁ以上の通り諸説?を片っ端から掻き集め、様々な仮説を考察しました。

その結果、今回は以下のいずれかと結論づけます。

「こんちきしょう、コンコンチキって何なんだ!」

(1)コンコン狐に化(ば)かされた、畜生!説
あまりに見事な化かしぶりだったので、怒りを通り越してむしろ感心してしまった。その感嘆を表現。

(2)この……この畜生め!説
元はコンチキだったのが、コンを重ねることで、怒りや感嘆を強調。漢字で書くと「此々畜(生)」に。

(3)この愚か者(痴気)め!説

(4)この未熟者(稚気)め!説

……などなど。

ところで、畜生というネガティブな言葉を「大当たり」のようにポジティブな言葉と組み合わせるのは不適当では?と思われるかも知れません。

しかしネガティブな言葉によってポジティブな意味合いを強調する用法は「バチくそ可愛い・美味い」等の例が散見されます。

あるいは「くぅ~……憎いねぇ!」というセリフに、文字通りの憎しみが込められている訳ではなく、心憎い(絶妙)といった賞賛のニュアンスが込められているようなものでしょう。

もちろんネガティブな意味での畜生!にも使えるので、文脈に合わせた使い分けが可能です。

※ただし本気で罵倒する時は「コンチキが!」など繰り返し部分が省略される傾向があるため、比較的余裕のある場面でのみ使われるでしょう。

コンコンチキのまとめ

イメージ
【コンコンチキの語源・仮説】
・狐にまんまと化かされた怒り?
・むしろ見事な化かしぶりを賞賛?
・この、を繰り返すことで畜生(怒りor賞賛)を強調?
【コンコンチキの用法】
・ネガティブ(罵倒)にもポジティブ(賞賛)にも使える
・ネガティブの場合はコンチキに短縮されがち

……今回はコンコンチキについて、その語源を調査・考察してきました。

皆さんはコンコンチキについて、どのように思われますか?

多分「そんなもん興味ないよ、どうとも思わないよ」という方が圧倒的多数でしょう。

ただこういう言葉の由来などを考えて見るとなかなか面白いもので、いつか誰かがコンコンチキについて知りたくなった時の参考になれば幸いです。

資料に残るコンコンチキは?

国立国会図書館に所蔵されている資料から「コンコンチキ」を検索してみました。

すると釣狐(つりぎつね)という唱歌に「コンコンチキ」が載っています。

信太森の狐伝説。大蘇芳年「新形三十六怪撰 葛の葉きつね童子にわかるゝの図」

♪こんこんちきや こんちきや
しのだのもり(信太森)の きつねどんをつ―ろ―(釣ろう)よ
こんこんちきや こんちきや……♪

古海静湖『手風琴独稽古』綱島書店、大正3年(1914年)

これが現存する最古の「コンコンチキ」みたいですね。

歌の文脈から、やはり狐がコンコン鳴くことに由来するのかも知れません。

この場合の「チキ」は、単にコンコンの拍子をとっているだけで、特に意味を持たせていない可能性もありますね。

純粋に狐≒お稲荷様のあらたかな霊験やご利益を表していたとも考えられるでしょう。

終わりに

蔦重と愉快な仲間たち。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。

今回は蔦重が発した地口「当たり前のコンコンチキ」について紹介しました。

最終的な決定打には至らなかったものの、どうやら狐の鳴き声である「コンコン」がヒントとなりそうですね。

NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、これからも蔦重による地口が連発・炸裂するのでしょう。

「あったりめぇのコンコンチキよ!」

そんな威勢のよい蔦重の声が聞こえて来そうですね。

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