歴史を調べていると、偽史や擬史といった単語を目にすることがあるかもしれません。
どちらも「ぎし」と読みますが、似たようで異なる両者の性質は、それぞれどのようなものでしょうか。
という訳で、今回は偽史と擬史の違いについて、わかりやすく紹介したいと思います。
偽史(ぎし)とは?

架空の王朝・国家や政権について、その歴史を記録したものです。
実在する王朝・国家の歴史を偽った偽書(ぎしょ)とは異なるので注意しましょう。
【偽史の例】かつて日本列島に存在したというヘッポコ王国の歴史記録。
→架空の国家等(ヘッポコ王国)が主体。
【偽書の例】日本国の戦国時代に暗躍したという宣教師ヘッポコの記録。
→歴史的事実に乗っかった架空人物(宣教師ヘッポコ)、または実在人物の架空事績が主体。
ただし近世(日本では)以降、偽史についても偽書と同じようなイメージで扱われることが多くなりました。
擬史(ぎし)とは?

いっぽうこちらは歴史に擬(なぞら)えた記録、ざっくり言うと「歴史書っぽくした記録」です。
例えば、歴史的事実の中にフィクションを混ぜたり、逆にフィクションの中に歴史的事実を混ぜたりしたものを言います。
【擬史の例1】織田信長の思想に大きな影響を与えた宣教師ヘッポコの生涯。
【擬史の例2】ヘッポコ王国と織田信長の知られざる交流史。
どちらも事実(織田信長)と創作(宣教師ヘッポコ、ヘッポコ王国)の境界がごっちゃになっている点が特徴です。
『平家物語』や『太閤記』などの軍記物語なんかをイメージするとわかりやすいでしょう。
偽史と擬史、偽書の違いまとめ

【偽史】偽りの王朝などの歴史。土台からフィクション。往々にして偽書と混同されがち。
【擬史】事実と創作を混ぜることで、歴史っぽくした記録。創作性の強い歴史文学など。
今回は偽史と擬史の違いについて、なるべくわかりやすく紹介してきました。どっちにしても、歴史的事実でない点には変わりませんね。
ちなみに、ハッキリ創作だとことわりを入れているのが歴史小説となります。
果たしてどこまでウソかマコトか……考えながら色んな文献を読むと、楽しいですね!
※参考文献:
- 今井登志喜『歴史学研究法』東京大学出版会、1953年4月
- E・H・カー『歴史とは何か』岩波新書、1962年3月

