平安文学を代表する最高傑作の一つ『源氏物語』。
紫式部によって紡がれたと伝わる、全53帖(条)からなる壮大な物語は、千年の歳月を越えて世界中の人々から愛され続けています。
かくいう筆者も『源氏物語』ファンの一人。
今回は『源氏物語』に登場するさまざまな人物の中から、個人的に推したいキャラを男女3人ずつ紹介。皆さんにも、彼ら彼女らを好きになって欲しいです!
『源氏物語』の推しキャラ3選【女性編】
1位:紫上(むらさきのうえ)
2位:雲居雁(くもゐのかり)
3位:近江君(おうみのきみ)
【紫上】
作者の女房名(紫式部)にもなっている紫上。他のどのヒロインをおいても、彼女がいなくては始まりません。
生まれ以外は何もかも完璧な光源氏の妻として、生涯にわたり夫だけを愛し続けます。
それなのに光源氏のヤツめは、自身のコンプレックスから最愛の彼女を絶望の奈落へ突き落とし、すべてを台無しにしてしまうのでした。
【雲居雁】
頭中将の娘で、光源氏にとっては嫡男・夕霧の嫁に当たります。
夕霧とは幼なじみであり、互いに想い合いながら結ばれるまで紆余曲折を経るのでした。
夫の浮気に耐え忍ぶのが当たり前だった当時の女性に珍しく、可愛らしく嫉妬の感情を表します。
現代的な感覚を持った女性で、ファンも多いのではないでしょうか。
【近江君】
頭中将の娘……ではあるのですが、庶民の間で育ったため、下品を絵に描いたようなお転婆娘に。
ひょんな事からやんごとなき貴族たちに囲まれ、笑われ者にされてしまいます。
それでもめげずに努力するものの、そのベクトルは貴族社会に求められるものではなく、結局成果は上がりません。
最後は飼い殺し状態に嫌気が差して、どこへともなく去って行ったのでした。
『源氏物語』の推しキャラ3選【男性編】
1位:光源氏(ひかるげんじ)
2位:頭中将(とうのちゅうじょう)
3位:伊予介(いよのすけ)
【光源氏】
美女から醜女、少女から老女まで、さまざまな女性を抱きに抱き続けた貴種流離譚の主人公。
亡き母・桐壺更衣(きりつぼのこうい)の面影を探し求めて苦しむ様は、単なる色男とは一線を画す存在と言えるでしょう。
どこまでも愚かで、どこまでも愛すべきスーパーエリートマザコンゲス野郎。
すべてを手に入れながら、すべてを喪った人生は、読者の胸を強く打つのでした。
【頭中将】
光源氏とは親友であり親戚でありライバルであった頭中将。
基本的にキレ者であるはずなのに、光源氏と何か競う時になると、人が変わったように能力が激減してしまうのはなぜでしょうか。
単に作者のご都合主義、光源氏の引き立て役にされただけかも知れません。
しかしもしかしたら、光源氏にだけは弱かった……そんな設定もたまらなくないですか?
【伊予介】
誰それ?と思われる方も多いでしょう。空蝉(うつせみ)の夫、と言えば思い出していただけるかも知れませんね。
父娘ほども歳の差夫婦で、身分の低い地方役人の彼(伊予国の国司次官)。
光源氏に妻を寝盗られたと薄々察しながら、それを見逃してしまう「丸さ」に、老いの寂しさを痛感します。
一説には紫式部の夫・藤原宣孝(のぶたか)がモデルだとか。彼らも父娘ほどといわれる歳の差夫婦でした。
終わりに
以上『源氏物語』より、独断と偏見で推しキャラたちを紹介してきました。
皆さんの推しキャラはいたでしょうか。
NHK大河ドラマ「光る君へ」では、彼ら彼女らのモチーフが描かれるのか、楽しみにしています。
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