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【大河べらぼう】意外と寛容?松平定信『花月草紙』が説く友の心得とは

江戸時代
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来年の話をすると鬼が笑う、なんて言いますが、2025年NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華之夢噺~」今から楽しみですね。

江戸のメディア王として活躍した蔦重(つたじゅう)こと蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)の生涯を描くこの作品には、当然ながら様々な人物が登場します。

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カタブツで知られた老中・松平定信

松平定信(画像:Wikipedia)

その一人が蔦重のライバル?となろう松平定信(まつだいら さだのぶ)。日本史の教科書でもおなじみですが、厳しい倹約令を発して庶民から嫌われた老中です。

清廉潔白も行きすぎると「元の田沼の濁り恋しき」というもの。

要はちょっとくらい賄賂や汚職があったって、みんなおおらかに過ごせた田沼意次(たぬま おきつぐ)時代の方が、人々からの評価は高かったようです。

そんなカタブツで知られた松平定信ですが、彼の随筆集『花月草紙(かげつそうし)』を読むと、少し意外な一面が垣間見られました。

今回は松平定信『花月草紙』の中から、友の心得について紹介したいと思います。

その人の「長所」を友とせよ。その意は?

ある者が、定信に対してこんな質問をしました。

「友達を選ぶ時には、どのような心得を持つべきでしょうか」

これに対して、定信は答えます。

「友達を選ぶ時は、その人の長所を友とすべきである」

それはどういうことでしょうか。

「例えば武技にすぐれた者がいれば、その武技を見習うようにする。また例えば和歌に巧みな者がいれば、その和歌を見習うのがよい」

なるほど、それはよいですね。しかし相手の人柄は、友達選びに関係ないのでしょうか。

「世の中は広いが、自分とピッタリ合う性格など、そういるものではない。かと言って、自分の好みに合わさせようとする関係は、友達としてはいかがなものか」

確かに、無理やり交流しても、得るものは少ないですからね。

「例えば『この人の短所をのばしてあげよう』とばかり意見すると、人間関係が苦しくなってしまう」

当人からすれば、大して信頼関係のない人から言われたところで、うるさいだけでしょう。

「知己と呼べるほどの相手から意見を求められた時であれば、相手を思って言いにくいことも言うべきだ。それでもしばしば言うべきではない」

言うべきことは簡潔に、繰り返さない。大事ですね。

「もちろんつき合いの浅い友達でも、当人の生死に関わるほどの重大事なら意見することもある」

言わないで死なれても気まずいですからね。逆に「大概のことなら放っておく」とも言えます。

「とまぁ面倒な距離感やさじ加減はあるものの、その人の性格ではなく、長所を見習うつもりで友達を選ぶとよかろう。そうすれば、つき合えない人もそういないだろう」

……ということでした。

終わりに

……「友にまじはるは、いかなることか心得べき。」と問ふに、「友はその長所を友とすべし。武技好む者には、それを友とし、歌よむ者には、それをともとするぞよき。世の中に、同じこころの人いふものは、いとまれなることなるべし。ただわが好めるかたに引きいれんとするもうるさし。この人、このところは長じぬれど、ここはいとみじかし。そのみじかきところを引きのべんとするは、いとくるし。知己の人ことばを求めなば、もとよりいふべし。されど、しばしばすべきにあらず。浅き契りの友なりとても、友といふうちならば、その人のうへの存亡にかかはることならば答へる。ただその長所を友とすれば、まじはりがたき人もあらじ。」と答へき。……

※松平定信『花月草紙』より

友達を選ぶ時は、その人の全体を見るとどうしても粗が見えてしまうので、その人の長所を見習うつもりで選ぶとよい。現代にも通じる考え方ですね。

松平定信と聞くと、どうしても不正や汚職は絶対に許せないカタブツのイメージが強いですが、こうした寛容さも備えていたのでしょうか。

果たしてNHK大河ドラマ「べらぼう」では、松平定信がどんな人物に描かれるのか、楽しみにしています。

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