頂き物のカレンダーに、ちょっと素敵なのを見つけました。
「JAPAN COLOR INDEX 日本の色」。日本の伝統色を各月に当てて紹介する趣向で、なかなか見ていて飽きません。こういうセンス、いいですよね。
1月:梅重色(うめがさねいろ)
2月:麴塵色(きくじんいろ)
3月:藤黄色(とうおういろ)
4月:乙女色(おとめいろ)
5月:柳緑色(りゅうりょくいろ)
6月:葵色(あおいいろ)
7月:露草色(つゆくさいろ)
8月:飴色(あめいろ)
9月:紫紺色(しこんいろ)
10月:萩色(はぎいろ)
11月:勝色(かちいろ)
12月:柚葉色(ゆずはいろ)
それぞれどんな色なのでしょうか。早速見ていきましょう。
梅重(うめがさね)色
明るい紅赤色。
由来は平安時代の襲(かさね)装束から。表・濃紅・裏・紅梅の色目(配色)で重なるように咲き誇る梅の花を表現しています。主に旧暦11月から翌2月(現代の12~3月)にかけて着られました。
麴塵(きくじん)色
くすんだ黄緑色。刈安と紫根で染められ、陽の光に当たると緑色の艶が出るため「太陽の色」とも呼ばれたそうです。天皇陛下の御袍(ごほう)に配され、臨時祭・舞楽・弓馬初などで召されます。
藤黄(とうおう)色
ほの冴える黄色。奈良時代から「同黄・銅黄(とうおう、どうおう)」などとも親しまれ、江戸時代には友禅染の顔料、明治時代には絵具としてなど重宝されました。
乙女(おとめ)色
黄味を含んだ淡い赤色。早春に咲く乙女椿の蕾を連想させることからそう名づけられました。春の訪れを告げるやわらかな朝の空色が表現されています。
柳緑(りゅうりょく)色
新緑の柳葉を思わせる、青味の強い黄緑色。禅語の柳緑花紅とは自然の美しさを形容し、そこからこの色も「あるがまま」「自然体」の意味も含まれるようになりました。
葵(あおい)色
灰色がかった明るい紫色で、文字通り葵の花に由来します。葵の花は紅・白・紫・黄・斑(まだら)など多系統の色がある中で、特に高貴な紫系の色を葵に当てました。平安時代ごろから愛されてきた伝統色です。
露草(つゆくさ)色
文字通り、露草の花を思わせる淡く鮮やかな青色。色落ちしやすいため移ろうもの、消えゆくものなどを表す枕詞に使われました。その儚い「もののあはれ」が愛され、古く『万葉集』でも「つきくさ」と詠み親しまれます。
飴(あめ)色
濃厚に透き通った橙色。カレーを煮る時に玉葱を「飴色になるまで」炒める時や、永年使い込まれた木製家具や革製品の風合いを表すなど、積み重ねられた時の深さが感じられます。
紫紺(しこん)色
読んで字のごとく紺がかった暗い紫色。紫草の根で染めたので古くから「紫根」と表記され、明治時代以降に紫紺となりました。天皇陛下の即位礼に用いる幡(はた)や、優勝旗など尊ばれる色です。
萩(はぎ)色
萩の花を思わせる紫がかった明るい紅色。古く『万葉集』の頃から詠まれ、平安文学『栄花物語』『枕草子』などにも登場するなど、秋を豊かに彩ってきました。
勝(かち)色
紺色をさらに濃く暗く染めた藍色。布を搗つ(かつ。叩く)ことで色を染み込ませたのが命名の由来で、「勝つ」に通じることから質実剛健を旨とする武士たちに好まれました。
柚葉(ゆずは)色
柚子の葉に由来する、暗めな濃い緑色。柚子は古く奈良時代ごろから薬効が知られ、江戸時代には冬至の日に柚子風呂に入る習慣が始まりました。冬の寒さに負けない強さが感じられます。
他にもたくさん!日本の色いろ
以上、日本の伝統色12種類をごくざっくりと紹介してきました。お気に入りの色はありましたか?
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このすべてを覚えて使いこなすのは大変ですが、お気に入りの数色だけでも覚えて、生活の折々に意識してみると楽しいですよ!
※参考文献:
- 浜田信義『日本の伝統色』パイインターナショナル、2011年1月
- 吉岡幸雄『日本の色辞典』紫紅社、2000年6月
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