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いつか松平再興を夢見て…鳥居忠吉(イッセー尾形)の倹約作戦とは【どうする家康】

戦国時代
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倹約作戦で三河を守り抜く

鳥居忠吉 とりい・ただよし
[イッセー尾形 いっせーおがた]

家康不在の岡崎城の留守を預かり、今川家の目を盗み、質素倹約で金銀食料を貯め込み、松平家再興を支えた長老。老齢のためか、時々、何を言っているのか、よくわからない。元忠の父。

※NHK大河ドラマ「どうする家康」公式サイトより

「ひょの(殿)」歯が抜けているので発音が不明瞭……こんなキャラクター、前作にもいましたね(ァ、サァ!)。

元康に向き合う忠吉翁(左)。NHK大河ドラマ「どうする家康」公式サイトより

さて、三河家臣団の長老格として岡崎城の留守を預かってきた鳥居忠吉(とりい ただよし)。息子の鳥居元忠(演:音尾琢真)ともども、若き松平元康(演:松本潤)を支えます。

そんな忠吉のエピソードとして現代に伝わるのが「(仮称)松平再興の軍資金貯め込み」。今川家の従属下におかれながら、いつか元康の独立を夢見て必死に軍資金を蓄えたのでした。

今回は江戸幕府の公式記録『徳川実紀(東照宮御実紀)』より、実際どうだったのかを紹介したいと思います。

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忍びヽゞに粮米金銭を庫中にたくわへ……

……爰に鳥居伊賀守忠吉とて先代よりの御家人。今は八十にあまれる老人なり。その身今川が命をうけ岡崎にて賦税の事を司りしが。忍びヽゞに粮米金銭を庫中にたくわへ置。こたび君御帰国ありて。普第の人々対面し奉りよろこぶ事かぎりなき中にも。忠吉は君の手をとり。年頃つみ置し府庫の米金を御覧にそなへ。今よりのち   我君良士をあまためしかゝへたまひ。近国へ御手をかけたまわんため。かく軍粮を儲置候なりと申ければ。   君御涙を催されその志を感じたまひぬ。……

※『東照宮御実紀』巻二「鳥居忠吉密貯 銭献元信」

ここ三河に鳥居伊賀守忠吉という家人がおりました。

先代・松平広忠(演:飯田基祐)の頃から仕え、現在80余歳の老人です。彼は今川家の命によって年貢の取り立て・管理を担当していましたが、当局の目を盗んで兵粮や金銀を横領、蓄え続けたのでした。そこへ三河に帰国した元信にこれを献上。

忠吉翁が蓄えた軍資金(イメージ)

「蔵の中に、永年蓄え続けた軍資金が隠してございます。これから我が君(元信)がよき侍を多く召し抱え、三河は元より近国をも支配されるため、どうかお役立て下され!」

見すぼらしい身なりに粗末な食事。苦しい生活に今川からの搾取と迫害を耐え抜いて耐え抜いて耐え抜いて……いつか再興独立を夢に見ながら、みんなの血と汗と涙が染み込んだ軍資金を前に、若き元信は感涙にむせぶのでした。

終わりに

以上が『東照宮御実紀』の記述。しかし考えてみれば、まだ(今川の監視がついているかも知れない)人質の身分でそんなことを伝えてしまったら、いざバレた時に大変です。

今川当局の目を盗み、松平再興の軍資金を蓄える忠吉たち(イメージ)

桶狭間の合戦で今川勢が総崩れとなり、もぬけの殻となった岡崎城に返り咲いた後に「実は隠しておいたのです」と見せたとする別説の方が、より安全ではないでしょうか。

果たしてNHK大河ドラマ「どうする家康」では、このエピソードがどのように演出されるのか、とても楽しみですね!

※参考文献:

  • 成島司直ら編『徳川実紀 第一編』経済雑誌社、国立国会図書館デジタルコレクション
  • 歴史群像編集部 編『戦国驍将・知将・奇将伝 乱世を駆けた62人の生き様・死に様』学研M文庫、2007年1月

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