令和6年(2024年)大河ドラマ「光る君へ」。平安時代を代表する女流作家・紫式部(まひろ。演:吉高由里子)の生涯を軸として描かれる雅やかな平安王朝絵巻に、早くも期待が集まっています。
朝廷儀礼における作法や公家文化などの有職故実を学ぶ機会として、筆者も興味津々です。
さて、そんな“まひろ”の母として登場する“ちやは”。国仲涼子がキャスティングされて話題となっている彼女は、果たしてどんな女性だったのでしょうか。
生前の事績はほとんど不明
“ちやは”は生年不詳、実名も伝わっておらず、便宜上父親の名前から藤原為信女(ふじわらの ためのぶのむすめ)と呼ばれています。
女子
※藤原公定 撰『新編纂図本朝尊卑分脈系譜雑類要集 第7巻』国立国会図書館デジタルコレクション
紫式部母 右小弁為時室
天禄年間(970年~974年)に当時播磨権少掾を務めていた藤原為時(演:岸谷五朗)の元へ嫁ぎました。
播磨権少掾(はりまごんのしょうじょう)とは、播磨(兵庫県南部)国司の三等官(一等から守=かみ、介=すけ)で、権とは仮(定員外)を意味するいわば名誉職。
あまり豊かそうではないものの、下には下がいくらでもいるため、平安社会全体から見ればまだ恵まれた方と言えるでしょう(最終的に正五位下・越後守まで昇りました)。
ともあれ藤原惟規(のぶのり。演:高杉真宙)や紫式部を産み、幸せな家庭を築いた彼女。しかし若くして亡くなったようで、子供たちの成長を見届けることなく世を去ってしまいます。
ほとんど事績が残っていない謎の人物なので、大河ドラマでは脚本によるアレンジが大きなウェイトを占めるでしょう。
ちやは
国仲涼子 くになか・りょうこ紫式部(まひろ)の母。不器用な夫を支え、豊かとはいえない暮らしの中でも、幼いまひろや弟の太郎を、愛情深く育てる優しい女性。
国仲涼子さんコメント
この度、初の大河ドラマ出演で紫式部の母親を演じさせていただきます。
※NHK公式サイトより
歴史ある大河ドラマに一度は出演してみたいと強く願っていました。紫式部の母親役のお話をいただき、二つ返事で引き受けさせてもらいました。特別な役作りはせず、現場での母親としての顔をしっかり出すことができればと思っています。
設定やコメントを見る限り、“まひろ”姉弟のささやかな幸せを共有する控えめな女性として演じられるようです。
歴史ある大河ドラマの晴れ舞台で、国仲涼子さんには母親の優しさと厳しさを存分に演じて欲しいと期待しています。
ところで“ちやは”という名前は何が出典なのでしょうね?現在調査中、分かり次第紹介する予定です。
藤原為信女(ちやは)基本データ
生没:生没年不詳
両親:父・藤原為信/母・不詳
兄弟:藤原理明・藤原理方・藤原康延
実子:長女(藤原為時長女)・紫式部(まひろ)・藤原惟規(紫式部の兄弟)
※参考文献:
- 山中裕『源氏物語の史的研究』思文閣、1997年5月
- 藤原公定 撰『新編纂図本朝尊卑分脈系譜雑類要集 第7巻』国立国会図書館デジタルコレクション
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