一条天皇の第一皇女
脩子内親王(ながこないしんのう)
井上 明香里(いのうえ・あかり)一条天皇の第一皇女。母は藤原定子。
※NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより。
亡き藤原定子(高畑充希)が遺した一条天皇(塩野瑛久)の第一皇女・脩子内親王(しゅうし/ながこ)。
果たして彼女はどのような生涯をたどったのでしょうか。
今回はそんな脩子内親王について紹介したいと思います。
脩子内親王の生涯をたどる
脩子内親王は長徳2年(996年)12月に誕生しました。
同年に勃発した長徳の変により、おじの藤原伊周(三浦翔平)・藤原隆家(竜星涼)らが失脚、後ろ盾がない状態でのスタートです。
5歳となった長保2年(1000年)に母親と死別しますが、一条天皇の希望により他家へは出さず宮中で育てられました。
※実弟の敦康親王は藤原彰子(見上愛)の養子になります。
やがて著裳(もぎ。女性の成人儀式)に際して三品(さんぼん。皇族の位階で三位に相当)となり、12歳となった寛弘4年(1007年)には一品(いっぽん。一位に相当)まで昇りました。
合わせて准三宮(じゅさんごう)の待遇と本封以外に一千戸の所領を賜ります。
寛弘8年(1011年)に父の一条天皇が崩御されると、脩子内親王は政敵である藤原彰子≒藤原道長(柄本佑)の庇護下に入ることをよしとせず、叔父の藤原隆家に身を寄せました。
その反抗的な態度を、道長らが苦々しく思ったのは言うまでもありません。
その後長和2年(1013年)に三条宮(平雅康邸。定子の郷下り宅)へ戻ったそうです。
やがて離れ離れで暮らしていた実弟の敦康親王が寛仁2年(1018年)12月に薨去すると、脩子内親王は深く嘆き悲しみました。一緒に暮らした期間はそれほど長くないのに、姉として弟を思う愛情が深かったのでしょうね。
治安4年(1024年)3月に29歳の若さで落飾(出家)。人々からは入道一品宮(にゅうどういっぽんのみや)などと呼ばれます。
なお当時の皇女はその多くが生涯未婚を貫いており、脩子内親王もまた夫を持つことはありませんでした。
ただし自身の従姪(いとこめい)に当たる藤原延子(えんし/のぶこ)を養女に迎えています。
延子は藤原頼宗(道長次男)と藤原伊周女(脩子内親王の従姉)の間に生まれた娘です。
やがて延子が後朱雀天皇(彰子が生んだ第二皇子)に入内する際には養母として参列しました。
脩子内親王は管弦に優れており、延子にもそれを伝授したそうです。
血筋は受け継げなくても、管弦の音色を受け継ぐなんて、なかなかお洒落ですね。
そんな脩子内親王は永承4年(1049年)2月7日、54歳で薨去しました。
2月7日はお釈迦様の入滅日(命日)に当たるため、人々は「きっと極楽往生間違いなし」と喜んだそうです。
きっとそれだけ慕われていたのでしょうね。
脩子内親王・略年表
- 長徳2年(996年)12月16日 誕生(1歳)
- 長保元年(999年)11月7日 弟の敦康親王が誕生(4歳)
- 長保2年(1000年)
12月15日 妹の媄子内親王が誕生(6歳)
12月16日 母の藤原定子が崩御(6歳) - 寛弘4年(1007年)1月 一品に叙せられる(12歳)
- 寛弘5年(1008年)5月25日 妹の媄子内親王が薨去(13歳)
- 寛弘7年(1010年)1月29日 伯父の藤原伊周が薨去(15歳)
- 寛弘8年(1011年)6月22日 父の一条天皇が崩御、叔父の藤原隆家を頼る(16歳)
- 長和2年(1013年) 亡き母の旧宅であった三条宮へ移る(18歳)
- 寛仁2年(1018年)12月17日 弟の敦康親王が薨去(23歳)
- 治安4年(1024年)3月 出家する(29歳)
- 時期不詳 藤原延子を養女に迎える
- 長久3年(1042年)3月26日 養女の藤原延子が後朱雀天皇に入内する(47歳)
- 永承4年(1049年)2月7日 薨去する(54歳)
※旧暦と新暦のズレがあるため、分かりやすくするため合わせています。
※例:長徳2年の12月は既に西暦997年に入っているけど、旧暦の大晦日まで西暦996年と見なしました。
脩子内親王・基本データ
生 没:長徳2年(996年)生~永承4年(1049年)没
両 親:一条天皇/藤原定子兄 弟:敦康親王(実弟)、媄子内親王(実妹)
異母兄弟:敦成親王(あつひら。後一条天皇)、敦良親王(あつなが。後朱雀天皇)
親 族:藤原伊周(母方伯父)、藤原隆家(母方叔父)など
伴 侶:なし(生涯独身)
子 女:藤原延子(養女)
官位:一品/准三宮
女房:相模(女流歌人)ほか
特技:書、管弦など
備考:『枕草子』の普及に貢献したとも
終わりに
今回は定子が遺した一条天皇の第一皇女・脩子内親王について、その生涯をたどってきました。
果たしてNHK大河ドラマ「光る君へ」では、どんな活躍を見せてくれるのでしょうか。
これからの成長を、楽しみに見守っていきたいですね!
※参考文献:
- 倉本一宏『人物叢書 一条天皇』吉川弘文館、2003年12月
- 山本淳子『源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり』朝日選書、2007年4月
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