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【光る君へ】藤原隆家(竜星涼)が舞い唄った「タアハア トヲリョロ」とは何?考察してみた!

コラム
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藤原伊周「隆家、お前も舞え」
藤原隆家「私は遠慮いたします」
伊周「舞え」
(隆家、仕方ないという素振りを見せ)
清少納言「(隆家に扇を奪われて)あっ……」
隆家「(立ち上がり、舞いながら唄う)タアハア、トヲリョロ……♪」

※NHK大河ドラマ「光る君へ」第16回放送「華の影」より

扇を手に、勇壮ながら優美な舞を演じた藤原隆家。途中から興が乗った兄・藤原伊周も対になって競演する場面がありました。

間もなくして東三条院こと藤原詮子がやってきたため、中断されてしまいます。もっと聞きたかったのに、残念ですね。

ところで、あの舞いは何だったのでしょうか。

今回はこの隆家が唄い舞った「♪タアハア トヲリョロ……♪」について、少し考えてみたいと思います。

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【仮説】艶めかしい歌詞?ヒントは「とをよる」?

舞い唄う隆家(イメージ)

とりあえず分からないことはGoogle先生に聞いてみよう……ということで、インターネットで検索してみました。

だがしかし、それらしい情報は得られませんでした。

とりあえず仮説として、平安時代に流行した俗謡・催馬楽(さいばら)ではないかと思って検索ワードに加えても結果は変わりません。

※藤原詮子が「騒がしい」と怒っていたので、恐らく俗っぽい芸能ではないかと思ったのでした。

参考になるかはわかりませんが、ひとまず字幕の言葉を正誤をとわず解きほぐしてみましょう。

タアハア……手(た)合わぁ? ⇒ちょっと違和感。

トヲリョロ……通り寄ろう? ⇒通りなら「とほり」では?

古語を調べてみると「とをよる(撓寄る)」という言葉があるそうです。

撓寄るとは「しなやかにたわむ」という意味で、『万葉集』にはこんな和歌がありました。

秋山の したへる妹(いも) なよ竹の とをよる子らは いかさまに……
【元文】秋山 下部留妹 奈用竹乃 騰遠依子等者 何方尓……
【意訳】妙齢の慕わしい少女よ。細くてしなやかな竹のようにしなだれかかるこの少女を、どのように……

※『万葉集』第2巻 217 柿本人麻呂

何とも艶めかしい和歌ですね。

秋山とは「紅く色づいた」すなわち「時が熟した」ここでは妙齢の意味になります。また「子“ら”」とは複数形ではなく強調の意味です。

このトヲリョロが「とをよる」に由来するのであれば、前段の「タアハア」についても、何かそれらしい意味が込められているのかも知れません。

例えば「手繰り寄せ、しなだれかかる」と言ったニュアンスとか。こんな艶めかしい意味なら、東三条院が怒るのも無理はないですね。

結局まだ「タアハア トヲリョロ」の謎は分からないが……。

龍星涼演じる藤原隆家。NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイト(人物紹介)より

しかし結論として、隆家が舞い唄った「タアハア トヲリョロ」の謎はまだ分かりません。

【タアハア トヲリョロとは?考察&仮説まとめ】

  • 前段「タアハア」のタorタアは「手」ではないか?
  • 後段「トヲリョロ」は古語「とをよる(しなやかにたわむ)」に由来するのではないか?
  • 前後を合わせ「(恐らく女性を)手繰り寄せ、しなだれかかる」と言った意味になるのではないか?
    ※あくまで仮説のため、解釈が異なる可能性もあります。

今後公式からどんな答えが出されるのか、あるいはこのまま答えの出ないまま立ち消えになる可能性も考えられます。

でもこういう素朴な疑問に思いを巡らせ、自分なりに考えてみるのも時代劇の楽しみ方ではないでしょうか。

皆さんもぜひ、気になったことは自分なりに仮説を立てて調べてみると、大河ドラマがもっと面白くなると思います!

【追記】タアハアは龍笛?トヲリョロはお琴?

龍笛。

令和6年(2024年)4月23日(火)加筆

その後情報をご提供下さった方がいらして、タアハアとは龍笛(りゅうてき)の楽譜ではないかというのです。

調べてみると、確かに楽譜が出て来ました。和楽器には心得がないので、こういう知識はありがたいですね。

またトヲリョロはお琴のトレモロ(チリチリ)?あるいは龍笛の歌詞にタルㇻロㇼョというのがあるからそれかも知れない、と……。

確か一条天皇が龍笛を演奏されていたので、隆家は「龍笛をこう吹いて下さい」とサインを送った可能性も考えられますね。

あるいは藤原定子がお琴を弾いていたから、龍笛(一条天皇)とお琴(定子)のそれぞれを指揮したのかも知れません。

畏れ多くも今上陛下と中宮陛下を指揮するとは……もしそうだとしたら、東三条院がもっと怒っていいでしょう。

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