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アサシン善児に跡継ぎ登場!山本千尋が演じる”トウ”にモデルはいるの?【鎌倉殿の13人】

大河ドラマ
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「……そちらは?」

「わしも歳をとったんで、二代目です」

※NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第29回放送「ままならぬ玉」より

そう善児(演:梶原善)に紹介された女性の名はトウ(演:山本千尋)。かつて修善寺で源範頼(演:迫田孝也)らを暗殺した時、ただ一人見逃した村娘と思われます。

善児に育てられた孤児・トウ。狙うのはなにか(たぶん善児の首)。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」公式サイトより

中国武術の心得がある山本千尋さんのスキルを存分に活かすべく、北条義時(演:小栗旬)一家の前で演武を披露。一同に息を呑ませました。

その鋭い太刀筋に、見ていないはずの兄・北条宗時(演:片岡愛之助)の最期が脳裏によぎった義時。

恐らく、梶原景時(演:中村獅童)より善児を譲り受けた際、善児に渡すよう預かった袋の中身(入っていたのは北条宗時の遺品)を見たのでしょう。

劇中では「見ていない」と何食わぬ顔で善児に言っていますが、かつて巴御前(演:秋元才加)が持参した源義高(演:市川染五郎)への書状をその場で検閲した義時が、袋の中身を確認しない訳がありません。

兄・宗時を殺した下手人と知ってなお、利用価値がある内は善児を殺さず手元に置き続ける義時。いつか用済みとなった善児を、義時がどのように処分するのか、今後見どころの一つです。

まぁそれはもう少し先の事として、ところでトウのモデルとなった人物は実在するのでしょうか。

善児は演者である梶原「善」の名前と、範頼(後に頼家も)が幽閉・暗殺された修善寺(しゅ・ぜんじ)からとったオリジナルキャラクターと推測していますが……。

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トウのモデルは『愚管抄』に登場する義時の郎党・藤馬?

トウのモデルに考えられる一人として、『愚管抄』に登場する藤馬(とうま)という人物が候補に挙げられます。

サテソノ年ノ十一月三日。終ニ一万若ヲバ義時トリテヲキテ。藤馬ト云郎等ニサシコロサセテウヅミテケリ。

【意訳】さて、その年(建仁3・1203年)の11月3日。ついに義時は一幡を捕らえ、藤馬という郎党に刺し殺させ、その遺体を埋めさせた。

※『愚管抄』第六巻より

鎌倉幕府の公式記録とされる『吾妻鏡』や、『鎌倉北条九代記』などを見ると、一幡は9月2日の戦闘(比企能員の変)で比企一族もろとも焼け死んだとされています。

比企一族と一幡の最期(イメージ)

……比企四郎一幡公をいだき奉りて猛火の中に飛入たり……

※『鎌倉北九代記』「将軍頼家御病悩付比企判官被討并比企四郎抱一幡公入火中死」より

しかしその遺体ははっきり一幡(いちまん)と確認できず、着用していた小袖(菊枝の模様。乳母の証言により一幡のものと確認)がわずかに一寸(約3センチ)ばかり焼け残っていたため、これを一幡の遺体と認定したとか。

……今日於小御所跡。大輔房源性〔鞠足〕欲奉拾故一幡君遺骨之處。所燒之死骸。若干相交而無所求。而御乳母云。最後令着染付小袖給。其文菊枝也云々。或死骸。右脇下小袖僅一寸餘焦殘。菊文詳也。仍以之知之奉拾了……

※『吾妻鏡』建仁3年(1203年)9月3日条

もしかしたら実は小袖を着せた影武者で、本当の一幡は何とか逃げられたものの、義時らに討たれてしまった可能性も考えられます。

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トウ≒藤馬≒善児?

なお、藤馬はこの場面以外に登場しないようで、平素はあまり目立たない存在だったのでしょう。

義時が一幡の殺害を藤馬に命じたのは、特に彼の腕前などを見込んでというよりも「たまたまそこにいたから(要は誰でもよかった)」あるいは「彼が一幡を発見・捕縛したから」程度の理由であったと推測します。

さすがに大河ドラマのような女性ではなかったと思いますが、6歳児(満5歳。幼稚園児)の一幡を殺す程度であれば、それこそ(殺すことをためらいさえしなければ)別に女性でも構わなかったはずです。

『愚管抄』にその名が記されたのは、恐らく「源氏の嫡男である一幡を殺した」という特異性によるもので、それ以外はごく普通の人物であったろう藤馬。

日ごろは目立たないのに、ここ一番で血に手を染めるという人物像は、善児にも通じますね。

もしかしたら、藤馬の存在は善児のキャラクター描写にも影響を及ぼしているかも知れません。

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終わりに

トウの演武。これからの殺陣に期待。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」公式サイトより

【結論】トウのモデルは『愚管抄』に登場する藤馬(とうま)であろうと推測。

「甜瓜(マクワウリ)なんか、いいんじゃねぇかな」

※NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第24回「変わらぬ人」より

フラッと現れサクッと刺して、ボヤッと立ち去っていく善児の暗殺手口に対して、派手なアクションを魅せてくれそうなトウ。初代と二代目で違うスタイルの暗殺劇を繰り広げることでしょう。

果たして今後、彼らの手によって誰が屠られていくのか、そして善児はいつ殺されるのか。恐らく義時の命によって、トウが仕留めるものと予想されます。

ともあれ、今しばらくは梶原善と山本千尋の二代共演を楽しむこととしましょう。

※参考文献:

  • 丸山二郎 校訂『愚管抄』岩波文庫、1949年11月
  • 梅村彌右衛門 原版『鎌倉北条九代記』思誠堂、1884年2月

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