宋の見習い医師
※NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイト(登場人物)より。
周明(ヂョウミン)
松下 洸平(まつした・こうへい)
朱仁聡(ヂュレンツォン)らとともに越前にやってきた、宋の見習い医師。まひろ(紫式部)に宋のことばを教えてくれ、二人は親しくなっていく。優しく穏やかだが、どこか謎めいたところがある男。
10年ぶりの任官、それも越前守ですから意気揚々と任地へ赴く藤原為時(岸谷五朗)。
当然まひろ(紫式部。吉高由里子)もついて行きます。宋の国からやって来た人々と交流したくて、うずうずしていることでしょう。
NHK大河ドラマ「光る君へ」第21回放送「旅立ち」では、越前に行き着いたまひろ達の前に、一人の男が現れます。
彼の名は周明(ヂョウミン。松下洸平)。宋からやって来た見習い医師とのこと。
公式サイトの人物設定を見る限り、どうやら亡き直秀(毎熊克哉)のようなポジションみたいですね。
どこか謎めいたという辺り、実は何か悪事を働いて処刑なり海難事故なりしてフェイドアウトという結末が予想されます。
果たしてこの周明はどのような人物なのでしょうか。
架空の人物と思われるが……。
結論から言うと、この周明は架空の人物のようです。
誰かしらモデルとなる人物がいるのかについても、まだ調べ切れていません。
商人の朱仁聡(ヂュレンツォン。浩歌)と共に現れるため、その周辺人物かとも思いましたが、特にその様子もなさそうです。
(もしご存知の方がいらしたら、ご教示いただけると助かります)
宋の商人
※NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイト(登場人物)より。
朱 仁聡(ヂュレンツォン)
浩歌(ハオゴー)
宋からやってきた商人らの長。船が漂着し、越前に逗留(とうりゅう)している。実は、宋の朝廷から、ある密命を負っており、越前国守の藤原為時と交渉にあたる。
国家単位の密命を、たかが一国司と交渉すると言うのも、なかなかぶっ飛んだ話ですが……何を交渉するのか、楽しみにしておきましょう。
それはそうと、周明が見習い医師である設定は、宋代における医術の発展が関係しているのかも知れません。
医療技術の普及と医療福祉の充実
宋代は印刷技術の普及によって医学書が庶民層にも広がり、知識を共有することで医術が洗練されていきます。
宋代の医術書には『開宝本草(かいほうほんぞう)』や『嘉祐本草(かゆうほんぞう)』などが有名です。
これらは庶民層にも分かりやすく、実践しやすいよう、シンプルな表現で書かれています改善されます。
また行政当局も貧困層に対して無償で医療を提供する安済坊(あんさいぼう)や施薬局(せやくきょく)など、医療福祉も充実していきました。
従来の庶民医療は祈祷や呪術による治療が一般的だったところ、医学の普及によって大きく変わっていきます。
密接なつながりをもっていた道教と医療が切り離されたこの動きは、政教分離ならぬ医教分離とも言えそうです。
さらには朱肱『重校証活人書』や龐安時『傷寒総病論』が著されるなど、宋代は医学が切磋琢磨されていく時代でした。
他にも多数の発展がありましたが、ここではざっくり紹介しておきます。
終わりに
架空の人物と思われる周明が、なぜ見習い医師なのか。
その謎は恐らく、物語が進んでいく中で明らかにされることと思います。
果たして周明の存在はまひろ達にどんな影響を与え、どんな結末を迎えるのか……松下洸平の演技に注目ですね!
※参考文献:
- 岡元司『宋代沿海地域社会史研究』汲古書院、2012年6月
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