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『竹取物語』かぐや姫のモデル?『古事記』に登場する迦具夜比売とはどんな女性?

伝承民俗
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『竹取物語』のヒロインとして有名なかぐや姫(輝夜姫)。光る竹や数々の求婚劇、月へ還るクライマックスなど、今も人々を魅了してやみません。

その幻想的な物語は完全に創作かと思いきや、かぐや姫にはモデルが実在していたとする説もあるようです。

その名もまんま迦具夜比売命(かぐやひめのみこと)。古墳時代の人物ですが、果たしてどんな女性だったのでしょうか。

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『古事記』にのみ登場、詳細は不明

竹取の翁とかぐや姫。月岡芳年「月百姿 月宮迎」

迦具夜比売命は生没年不詳、第9代・開化天皇の曾孫に当たります。

【迦具夜比売命・略系図】
……開化天皇-比古由牟須美命(ひこゆむすみのみこと。彦湯産隅命とも)-大筒木垂根王(おおつつきたりねのみこ)-迦具夜比売命……

成長した迦具夜比売命は第11代・垂仁天皇の妃となり、袁邪弁王(おざべのみこ。おなべ/おやべ)を生みました。

……又娶大筒木垂根王之女。迦具夜比賣命。

生御子。袁邪辨王。(一柱)……

※『古事記』中巻 垂仁天皇

【意訳】また、大筒木垂根王の娘である迦具夜比売命を娶られた。

生まれた御子は、袁邪弁王ただ一柱(一人)である。

……記録はこれしかありません。迦具夜比売命がその後どうなったのか、袁邪弁王がどんな活躍をしたのか、子孫が続いたのかも不明の状態です。

曾祖母「丹波竹野媛」はかぐや姫の竹と関係が?

竹から生まれた?かぐや姫(イメージ)

何かもうちょっと手がかりはないものでしょうか。祖先をたぐってみたところ、祖父・比古由牟須美命の母親は丹波竹野媛(たにわの たかのひめ)という名前でした。

「たけの」じゃなくて「たかの」なんですね。また丹波も「たんば」ではなく「たにわ」と古式ゆかしい読みとなっています。

竹と言えば、かぐや姫が生まれた光る竹を連想させますが、何か関係があるのでしょうか。

迦具夜(かぐや)という名前の意味は?

せっかくなので、迦具夜比売命という名前についても何かしら考察してみたいと思います。

  • 迦……であう、めぐりあう。
  • 具……つぶさに、そなえる、そなわる。
  • 夜……よる。

これをまとめると「めぐりあい、そなわる夜」。何だか意味ありげな気はするものの、微妙な感じですね。

また漢字が当て字である可能性を考えて「かぐや」という音からもアプローチしてみましょう。例えば……。

  • 香(かぐは)しい……香り高い。
  • 弥(や、いや)……ますます、きわめて。

音の印象から「ますます香り高い女性」であったら趣深いと思ったのですが、弥は「弥生」「弥栄」のように接頭語なので、その可能性は低そうです。

「かぐわしい夜の姫」ならいけるでしょうか。

終わりに

『竹取物語』より、月へ還るかぐや姫。土佐広通・土佐広澄筆

今回は『竹取物語』かぐや姫のモデル?とされる迦具夜比売命について紹介してきました。

彼女の生涯についてはほとんどが謎に包まれているため、今後の究明が俟たれます。

古代史についてはあまり注目されていないので、これからも調べて紹介していきたいです。

※参考文献:

  • 次田真幸『古事記(中)全訳注』講談社学術文庫、1980年12月

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