実資の召人 百乃(ももの)
千野 裕子(ちの・ゆうこ)藤原実資の召人。
※NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより。
本作において女性関係の華やかな藤原実資。彼の妻や恋人を振り返ってみましょう。
- 桐子(源惟正女。中島亜梨沙)
- 婉子女王(真凜)
そして百乃(千野裕子)。以前にも四条邸の女房として登場していましたが、あれから実資との関係を深めたようです。
果たして百乃はどんな女性だったのか、これから探っていきましょう。
百乃は藤原千古の母?
第42回放送「川辺の誓い」で実資が女の子を抱いて可愛がっていたことから、その娘は実資が「かぐや姫」と呼んで愛した藤原千古(ちふる/かずこ)ではないかと考えられます。
仮に百乃が生んだ娘とすると、百乃は千古の母親と推定される源頼定乳姉妹(よりさだのめのこ。乳母の娘)と考えられるでしょう。
源頼定乳姉妹は実名不詳、百乃という名前は「千古の母」ということで、百を冠したのかも知れません。
彼女は生没年不詳、源頼定の乳母を務めた女性の娘であったことは分かるものの、父親は不明です。
成長して実資と婚姻関係を持ち、寛弘8年(1011年)ごろに千古を生んだ可能性があります。
20~25歳で千古を生んだと仮定すると、永延元年(887年)~正暦3年(992年)ごろに生まれたことになるでしょう。
この年代において、主君である源頼定は従四位下・弾正大弼(だんじょうのだいひつ)となっており、主従の暮らしぶりは悪くなかったものと考えられます。
百乃とはどんな女性?まとめ
※仮定や推定を含みます。
- 父親は不明
- 母親は源頼定の乳母。
- 永延元年(887年)~正暦3年(992年)ごろ生まれか
- 頼定の官歴から考えて、暮らしぶりは悪くなかったはず(ケチでなければ)
- 藤原実資と婚姻関係を持つ
- 実資は天徳元年(957年)生まれなので、30歳以上の年齢差があった
- 寛弘8年(1011年)ごろ藤原千古を生む
- 没年は不詳
百乃≒源頼定乳姉妹について、分かることはこのくらいでしょうか。
百乃≒源頼定乳姉妹の関連略年表
- 永延元年(887年)~正暦3年(992年)ごろ 誕生?(1歳)
- 寛弘7年(1010年)ごろ 藤原実資と結婚?(19~24歳)
※これ以前に結婚している可能性も - 寛弘8年(1011年)ごろ 藤原千古を生む?(20~25歳)
- 寛仁3年(1019年)12月9日 実資が千古に財産の大半を相続する処分状(遺言書)を作成
- 時期不詳 実資が千古の入内を図るが道長に阻止される
- 万寿4年(1027年) 道長が薨去する
※大河ドラマ「光る君へ」はここで終わると予想 - 時期不詳 実資が千古と藤原長家(道長六男)との縁談を持ちかけるが拒絶され破談に
- 時期不詳 千古が藤原兼頼(道長次男・藤原頼宗の子)と結婚する
- 長元9年(1036年) 千古が兼頼との間に女子(小野宮尼公)を生む
- 長暦2年(1038年)ごろ 千古が父に先立つ。
※小野宮家(実資一族)の財産はほとんど道長一族に持って行かれてしまい、没落していく - 没年不詳(千古より先に亡くなっている可能性も)
終わりに
今回は実資の召人(めしうど。愛人)である百乃について、彼女が藤原千古の母親であるという前提のもとに紹介してきました。
果たして百乃はどんな役回りを演じるのか、千野裕子の好演に期待しましょう!
※参考文献:
- 『平安時代史事典』角川書店、1994年4月
- 『日本女性史大辞典』吉川弘文館、2008年1月
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