いよいよ始まりました、令和6年(2024年)NHK大河ドラマ「光る君へ」。元日から色々ありましたが、今年も大河ドラマを楽しんでまいりましょう!
第1回放送は「約束の月」。サブタイトルが意味するところは、主人公のまひろ(落井実結子)が母のちやは(国仲涼子)を殺したミチカネ(藤原道兼・玉置玲央)への復讐を誓ったのでしょうか……そんなラストでした。
やんごとなき貴族たちから巷にたむろす庶民たちまで、さまざまな登場人物が活き活きと平安世界を彩っていたように感じます。
さて、今週からNHK大河ドラマ「光る君へ」のレビューをお送りして参りますので、一年間お付き合いいただけたら嬉しいです!
第1回放送「約束の月」の登場人物
のっけから登場人物が多いので、まずは整理しておきましょう。
画面を見た限りで感じたコメントを追加していますが、勘違いしている可能性もあるのでその時はご指摘くださいね。
【まひろの家族たち】
- まひろ(紫式部/落井実結子)……利発でおませな少女。学才に長け、積極的な性格。
- 太郎(藤原惟規/湯田幸希)……まひろの弟。幼いから仕方ないけど、学問には興味も才能もなさそう。
- 藤原為時(岸谷五朗)……学識はあるが不器用で、出世できないタイプ。家族の食い扶持を守るため、妻を殺したミチカネの追求を諦める。
- ちやは(藤原為信女/国仲涼子)……まひろと太郎の母。幼くして死別しているのは確かで、今回の死因は斬新でした。
- 乙丸(矢部太郎)……まひろの従僕。架空の人物と思われます。
- いと(信川清順)……まひろと太郎の乳母。こちらも架空の人物でしょう。
- はる(島田桃依)……まひろ家の下女。為時の没落を見捨て、適当な理由で去っていく。
- 熊丸(志村光貴)……まひろ家の下男。こちらも去って行った模様。
- 藤原宣孝(佐々木蔵之介)……為時の僚友であり、親戚でもある気さくなキャラ。
※劇中では親戚と紹介されていましたが、調べてみたところ、まひろにとって義理の大おじ(祖父母の兄弟世代)に当たるようです。
【三郎の家族たち・藤原一門】
- 三郎(藤原道長/木村皐誠)……おっとりマイペースな三男坊。足で文字を書くのが得意。
- 藤原兼家(段田安則)……三郎の父。娘の詮子を入内させ、更なる権力拡大を狙う。
- 時姫(三石琴乃)……三郎の母。いい人っぽいけど、どうして道兼はあんなことに……。
- 藤原道隆(井浦新)……三郎の長兄。基本的に性格もよくて優秀だが、押しが弱そう。
- 藤原道兼(玉置玲央)……荒ぶる三郎の次兄。父や兄たちへのコンプレックスから犯行に及んでしまう(ちなみに、ちやはを刺し殺したのはフィクションです)。
- 藤原詮子(吉田羊)……三郎の姉。入内して円融天皇の女御となる。ライバルの藤原遵子に先を越されてしまった。
- 高階貴子(板谷由夏)……道隆の妻。後に義弟の三郎と権力抗争を繰り広げる。
- 平惟仲(佐古井隆之)……兼家に仕える家司(けいし)。為時に冷たくしていたが、意外な一面を見せてくれそう。
- 百舌彦(本多力)……三郎の従僕。架空の人物と思われる。
【朝廷の方々】
- 円融天皇(坂東巳之助)……第64代天皇。今作の一人称は「朕」。
- 師貞親王(花山天皇/伊藤駿太)……後に第65代・花山天皇として即位するも、寵愛する藤原忯子の菩提を弔うため若くして出家する。
- 藤原遵子(中村静香)……詮子のライバルだが、円融天皇の中宮(正室)となり勝利を収めるも、子宝に恵まれなかった。
- 藤原頼忠(橋爪淳)……遵子の父。娘が中宮となったことでライバルの兼家を制したかに思えたが……。
- 藤原文範(栗田芳宏)……群臣たちの長老代表。職場に一人はいてほしい重鎮感。
- 藤原顕光(宮川一朗太)……今回は存在感ほぼなし。無能で有名だが悪運が強い。
- 藤原為光(坂田マサノブ)……今回は存在感ほぼなし。兼家の異母弟。
- 源雅信(益岡徹)……今回は存在感ほぼなし。愛娘・源倫子の嫁ぎ先に悩んでいる。
- 源重信(鈴木隆仁)……今回は存在感ほぼなし。音曲に通じているので、今後ご披露願いたい。
- 安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)……みんな大好き?腕利きの陰陽師。何のまじないか遵子を不妊症にしてしまう。
- 須麻流(DAIKI)……安倍晴明の従僕。架空の人物と思われる。
【市井の人々】
- ぬい(野呂佳代)……街で散楽を観ていたら、いつの間にか百舌彦といい感じになっていた。ストーリー上何か意味があるのだろうか。
- 座頭(佐藤伸之)……散楽一座の座頭。以下一座のメンバーはすべて架空の人物と思われる。
- コウメイ(金澤慎治)……散楽一座のメンバー。覆面している。
- 兼太(長谷場俊紀)……散楽一座のメンバー。太っちょ。
- 兼次(松岡歩武)……散楽一座のメンバー。兼三とまだ見分けがつかない。
- 兼三(千葉雅大)……散楽一座のメンバー。烏帽子の色が茶色なのでそこで見分ける?
気になった描写あれこれ
一、まひろの生年については諸説あるが……
貞元3年(978年)に母が殺され、次回で6年が経って15歳となった……ということは、逆算して天禄元年(970年)生まれ説が採用されたようですね。
今後は、この前提で話を進めて行きましょう。
一、為時が夜のお出かけをする理由
父・藤原為時には側室がいました。劇中では単に女遊びをしているかのような言及がされていたものの、これにはある種やむを得ぬ事情があります。
要は側室の実家に支援を求める上で、顔をつないでおきたいのです。
だから正妻である母・ちやはの言う通り彼女の実家(藤原為信)に力があれば、夜のお出かけも控えられるでしょう。
少なくとも現時点においては、側室の実家の方が頼りになりそうです。
一、為時が希望した式部少丞とは
後にまひろが「紫式部」の女房名で呼ばれる遠因となった式部少丞(しきぶのしょうじょう)。
式部省とは朝廷に置かれていた部署の一つで、主に儀礼や官吏の教育を担っていました。
確かに学識高い為時には相応しい官職と言えるでしょう。
また少丞とはカミ(長官)・スケ(次官)・ジョウ(幹部)・サカン(管理職)に分かれていた官吏の三等級に該当し、更に大丞と少丞と細分されます。
しかし為時の自己アピールは愚痴っぽいと言いますか、円融天皇ならずとも登用したくなくなりますね。
かくして、為時は春の除目を逃してしまうのでした。
一、まひろが父の漢文を暗記するエピソード
これは『紫式部日記』に書かれている幼少期のエピソード。
為時が息子の太郎(藤原惟規)に漢文を教えてもなかなか覚えられないところ、そばで聞いていたまひろの方が暗記きてしまったというもの。
「お前が男の子だったらよかったのに……」
女子に学問など要らない。少なくともひけらかすべきではない。そんな当時の価値観に苛まれたまひろは、この後も色々とこじらせてしまうのでした。
一、まひろが飼っていた鳥を逃がすエピソード
「雀の子を犬君が逃がしつる。伏籠のうちに籠めたりつるものを」
※『源氏物語』第5帖「若紫」より
これは紫式部の最高傑作『源氏物語』に登場するメインヒロイン・紫の上が少女時代に飼っていた鳥を逃がしてしまったエピソードを持ってきたのでしょう。
セリフの意味は「雀の子を犬君(いぬき。悪ガキの名前)が逃がしてしまったの。伏籠(ふせご)の中に入れておいたのに」となります。
作中では『源氏物語』の直接的な描写はしないようですが、恐らくはまひろが紫の上をたどる展開となるのでしょうか。
そのお相手役である光源氏は、もちろん道長(三郎)。実際にモデルじゃないかという説もあるようです。
一、道兼はあんなに荒ぶる人物だったのか?
父や兄へのコンプレックスから、荒ぶった挙句にちやはを殺してしまった藤原道兼。
「暴力を振るって、私の気分が晴れればそれでよい。弱い者はそのためにいる」
とんでもない迷ゼリフを放った道兼ですが、実際にあんなサイコパスだったのでしょうか。
『栄花物語』によると、道兼は容姿に恵まれず、冷酷な性格で人々から恐れられたそうです。
それなら「ちやはを殺すくらいしかねない」と、悪役を割り振られたのでしょう(可哀想に)。
また面倒な性格で意地悪く、兄の道隆を立てることなく直言したとか。
ただ老成して男らしいという評価もあったようで、草創期の武士むしろ兵(つわもの)を思わせる人物だったのかも知れませんね。
第2回放送「めぐりあい」
母の死から6年、まひろ(吉高由里子)は15歳となり、成人の儀式を迎える。死因を隠した父・為時(岸谷五朗)との関係は冷めきる中、まひろは代筆仕事に生きがいを感じている。一方、道長(柄本佑)は官職を得て宮仕え。姉・詮子(吉田羊)が帝との間に皇子をもうけ、道長の一家は権力を拡大していた。道長の父・兼家(段田安則)は権力をさらに強固なものにしようと道兼(玉置玲央)を動かし、天皇が退位するよう陰謀を計る。
※NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイト(2)めぐりあい より
時は永観2年(984年)、10月10日に円融天皇が師貞親王(花山天皇)に譲位。これが兼家の謀略によるものとする展開ですね。
次週はすっかり大きくなったまひろや三郎たちが登場。朝廷には暗雲巻き起こり、大きな波乱が予想されます。
今年も始まった大河ドラマ、これからも楽しみに見届けましょう!
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