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家康以上の古狸?武田信玄が駿河国を奪った謀略の手口とは【どうする家康】

戦国時代
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戦国時代、その精強さから「甲斐の虎」の異名で恐れられた武田信玄(たけだ しんげん)。戦場での武勇軍略はもちろんのこと、謀略にも長けていたと言います。

阿部寛演じる武田信玄。NHK大河ドラマ「どうする家康」公式サイトより

そんな信玄が盟友の今川義元(いまがわ よしもと)亡き後、義元が治めていた駿河国(静岡県東部)を併呑。この時も巧みな謀略を駆使しました。

果たしてどんな手口だったのか、今回は『名将言行録』より紹介したいと思います。

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今川家臣の怨みにつけ込む信玄

義元亡き後、家督を継承した今川氏真(うじざね)はへつらい者の三浦左衛門義鎮(みうら さゑもんよししげ)をはべらせていました。

三浦の口添えで気に入った者には手柄がなくても恩賞を与え、忠義ゆえに諫言などした者には罪もないのに罰したと言いますから、出鱈目もいいところです。

暗君の代名詞ともされる今川氏真。『集外三十六歌仙』より

そんな状態ですから、今川家中には怨嗟の声があふれ返り、次なる主君に信玄を期待します。

信玄はこれを好機とばかり今川家中の者たちに密使を送り「内通すればそなたに何千石やろう」「何百石を授けよう」「何万石を与えよう」と大盤振る舞い。

氏真に冷遇されていた彼らはこぞって内通を約束。信玄の到来を今か今かと待ちわびたことでしょう。

果たして信玄が兵を繰り出すと今川の家臣たちは一斉に寝返り、勝負にならず氏真は逃亡しました。

「御屋形様(信玄)におかれましては此度の勝利、まこと祝着至極に存じます。そこで約束の恩賞を……」

今川から寝返った者たちが続々とやってきたのを集めると、信玄は彼らに言い放ったのです。

「そなたらは私欲に目が眩み、譜代の主君を見捨てた不忠義者。我が武田家に召し抱えて何の役に立つと言うのか。どうせ状況が悪くなればまた裏切るに決まっておろう」

「左様なことはございませぬ。我ら武田家に終生の忠義をお誓い申す」

「ふん……今川でも同じことを申したのであろうよ。そなたらにくれてやる禄があるなら、裏切られた哀れな甥(※氏真。信玄の姉が義元に嫁いでいた)にこそ恵んでやるわい」

「「「そんな……我らを騙したのか!」」」

武田大膳大夫源晴信朝臣。歌川芳虎筆

「何を人聞きの悪い。嬖臣(へいしん。佞臣・奸臣)に惑わされし愚かな甥のため、ひいては天下のため私欲に主君を裏切る不忠義者をあぶり出したまでのこと……さぁ引っ立てぃ!こやつらの首を後世の戒めとするのじゃ」

かくして裏切り者たちはことごとく処刑され、わずかに命拾いした者もその末路は悲惨なものだったそうです。

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終わりに

今川氏真、嬖臣三浦左衛門義鎮の為めに愚弄せられ、諂者には功なくとも禄を与へ、忠直なる者は罪なくとも、之を罰す。之に依り、家臣怨を含み、大半甲州に内通し、共に自国を亡さんとす。晴信之を聞き、密状を遣はし、今度の合戦にて、氏真若し亡びなば、誰には何千何百石、誰には何万石を与んと約しければ、我先にと内通せり。晴信既に兵を入ければ、氏真が兵潰て、土岐の山家に逃竄し、駿河遂に平ぐ。之に依り、諸士皆約束の領地を乞ふ。晴信曰く、譜第の主君を捨る者共、我家に来るとも、何の用に立べきや、汝等に与ふる禄あらば、甥の氏真にこそ与へん、不忠の大賊、後世人民の戒とすべしと言て、悉く之を誅せり。適々生残りし者も、皆終を能くせずとぞ。

※『名将言行録』巻之七〇武田晴信

以上、武田信玄が謀略をもって今川氏真を滅ぼし、裏切り者たちを粛清したエピソードを紹介しました。

人間には生涯一度も裏切らないか、生涯ずっと裏切り続けるか、その二種類がいます。裏切るヤツは何度でも裏切りますから、利用こそすれ決して信用してはならないのです。

歌川国綱「天目山勝頼討死ノ図」

生涯にわたって裏切り者を警戒し続けた信玄。しかしその死後に家督を継いだ武田勝頼(かつより)が、家臣の裏切りによって滅ぼされてしまったのは、実に皮肉と言うよりありません。

果たしてNHK大河ドラマ「どうする家康」では、このエピソードを取り上げてくれるでしょうか。徳川家康(演:松本潤)の師となる武田信玄、阿部寛が演じる狸ぶりに注目です。

※参考文献:

  • 岡谷繁実『名将言行録(一)』岩波文庫、1943年9月

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