のちの歌麿の妻
きよとある場所で、喜多川歌麿(染谷将太)と出会い、妻となる女性。歌麿の画風にも、大きな影響を与える存在となる。やがて、激動の時代の中で、二人の運命も変化していく。
※参考:大河ドラマ「べらぼう」“寛政の改革”へ!井上祐貴・又吉直樹・島本須美ほか出演決定
https://www.nhk.jp/p/berabou/ts/42QY57MX24/blog/bl/pG3k57WNaG/bp/pnk4RwVALZ/
第25回放送「灰の雨降る日本橋」で、蔦重(横浜流星)とてい(橋本愛)の結婚に複雑な気持ちを見せていた喜多川歌麿(染谷将太)。
その過去(唐丸時代の少年虐待や性的搾取)から、蔦重に対して何か思うところがあったのでは……と思っていたら、彼も結婚するようです。
今回は喜多川歌麿の妻として描かれる、きよ(藤間爽子)について、その人物像を探ってみましょう。
「きよ」のモデルは喜多川千代女?
実際の喜多川歌麿に妻がいたかどうか、はっきりしたことは分かっていないようです。
ただし二代目喜多川歌麿(通称:小川市太郎。二代目恋川春町)が襲名に際して、初代歌麿の未亡人を娶ったとも言われているため、妻がいた可能性も否定できません。
その妻について詳しいことは分かっておらず、一説には初代歌麿の門人であった女性浮世絵師・喜多川千代女(ちよじょ)ではないかと言われています。
喜多川千代女の出自や家族などは不明、浮世絵師としては天明4年(1784年)から天明5年(1785年)にかけて活動しました。
喜多川歌麿の妻?喜多川千代女が手がけた作品

※黄表紙の挿絵など。
天明4年(1784年)
- 四方赤良『金平子供遊(きんぴらこどもあそび)』
- 四方赤良『年始御礼帳(としはじめのおんれいちょう)』
天明5年(1785年)
- 桜川杜芳『嘘皮初音鼓(うそのかわはつねつづみ)』
- 初代恋川春町『元利安売鋸商内(がんりやすうりのこぎりあきない)』
- 唐来参和『莫切自根金生木(きるなのねからかねのなるき)』
初代歌麿とは文化3年(1806年)9月20日に死別、その後に小川市太郎と再婚したと言います。
大河べらぼうでは主人公の蔦重が寛政9年(1797年)に亡くなって≒物語が終わってしまうため、そこまでは描かれないでしょう。
再婚後、彼女がいつまで生きたかなどについては分かっていません。
「きよ」もその一人?喜多川歌麿の弟子たち

喜多川千代女と二代目喜多川歌麿の他にも、初代歌麿には多くの門人がいました。
- 喜多川行麿(ゆきまろ)
- 喜多川道麿(みちまろ)
- 喜多川月麿(つきまろ)
- 喜多川藤麿(ふじまろ)
- 喜多川喜久麿(きくまろ。菊麿)
- 喜多川秀麿(ひでまろ)
- 喜多川磯麿(いそまろ)
- 喜多川あし磨(あしまろ)
- 喜多川峰麿(みねまろ)
- 喜多川可麿(よしまろ)
- 喜多川此麿(これまろ)
- 喜多川花麿(はなまろ)
- 喜多川年麿(としまろ)
- 喜多川竹麿(たけまろ)
……など。いずれも師を超えることはなかったと言われます。
他にも多くの浮世絵師たちに影響を与えており、喜多川歌麿は江戸時代を代表する浮世絵師の一人と言えるでしょう。
なぜ「きよ」?役名の謎を独自に考察

もし喜多川歌麿の妻が喜多川千代女だとしたら、わざわざ「きよ」とオリジナルでつけなくても、素直に「千代」でよさそうなものです。
なぜ制作当局は、あえて「きよ」としたのでしょうか。
(1)喜多川千代女(「き」たがわ ち「よ」じょ)の、最初と最後の文字をとった。
(2)特に意味はないが、あえてオリジナリティを出したかった。
(3)他にモデルとなった女性が実在していて、そこからとっている。
筆者の個人的予想では(1)ですが、もしかしたら(3)である可能性も捨てきれません。
果たしてこの謎が解明されるのか、楽しみにしていましょう。
「きよ」とはどんな女性に描かれる?

ともあれ、この「きよ」がどんな女性なのか、先ほどの人物紹介から探っていきたいと思います。
「とある場所で、喜多川歌麿(染谷将太)と出会い、妻となる女性。歌麿の画風にも、大きな影響を与える存在となる。やがて、激動の時代の中で、二人の運命も変化していく。」
この記述から分かることは以下の通りです(既に分かり切っていることも、念のためピックアップしておきましょう)。
(1)とある場所で初代歌麿と出会った。
(2)初代歌麿の妻となった。
(3)初代歌麿の画風に大きな影響を与えた。
(4)激動の時代において、二人の運命が変化していった。
……(1)の「とある場所」については、初代歌麿が行きそうなところの中から想像するよりありません。
(2)について考え甲斐のある点は、なぜ彼女と結婚しようと思ったか、並びにその経緯ですね。
(3)で初代歌麿の画風に影響を与えたというのは、思想面においてか技術面においてか、気になるところです。
(4)はもう脚本次第としか言いようがありません。寛政の改革(思想統制・言論弾圧)における表現方針をめぐり、蔦重と疎遠になってしまうことも影響しているのでしょうか。
現時点においてはこれ以上考えても埒が明かないため、今後のお楽しみにしたいと思います。
終わりに

<藤間爽子さん コメント>
いつか大河に出演したいという私の夢が叶(かな)いました。ありがとうございます。
私の役は、のちに歌麿の妻になる女性・きよだそうです。
史実では歌麿さんに妻がいたかどうかはわかっていないそうですが、私なりに想像を膨らませながら、歌麿の妻ということ以前に、1人の女性として、強くべらぼうの世界で生き抜いてみようと思います。
皆様に楽しんで頂けますように。わたしも初めての大河、存分に楽しみます。※参考:大河ドラマ「べらぼう」“寛政の改革”へ!井上祐貴・又吉直樹・島本須美ほか出演決定
https://www.nhk.jp/p/berabou/ts/42QY57MX24/blog/bl/pG3k57WNaG/bp/pnk4RwVALZ/
今回は喜多川歌麿(初代)の妻として登場する「きよ」について紹介しました。
果たして彼女はどんな活躍を魅せてくれるのか、藤間爽子の大河デビュー&好演に期待しましょう。