NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」ついに最終回「報いの時」が来てしまいました。主人公・北条義時(演:小栗旬)は、妻のえ(演:菊池凛子。伊賀氏)に毒を盛られ、寿命を縮めてしまいます。
(毒を盛った“のえ”が一番悪いのは当然ながら、結婚してから十数年間にわたりまともに愛情を注がなかった義時も義時。それまで散々ヘイトを溜めていたので、当然の結果と言えば結果ですね)
さて、医師(演:康すおん。佐々木善住か)はこれを「麻の毒」と診断しましたが、麻の毒とは何なのでしょうか。麻・毒と聞いてすぐに思い浮かぶのは違法薬物として知られる大麻(たいま)ですが、大麻には致死性の毒があるのでしょうか。
そんな疑問を解消するため、今回はこの「麻の毒」≒大麻?について、その危険性を調べてみました。
大河ドラマのストーリーとは関係ないものの、そういうところが気になるあなたへお送りします。
麻の毒?大麻がもたらす深刻な健康被害
WHO(世界保健機関。World Health Organization)によると、大麻の健康被害としては以下の症状が指摘されています。
一、脳機能障害
一、呼吸器障害
一、生殖器障害
一、精神障害
その他にも幻覚や妄想、無気力などの症状が報告されており、ただちに影響が出なかったとしても中長期的に(隙ができて)暗殺や事故死などのリスクは高まるでしょう(ターゲットが事故死なんかしてくれれば、もう万々歳でしょうね)。
また生育速度と環境順応性の高さ(要するに早くどこでも育つこと)から、日本でもかつては日常的に(繊維や薬用などとして)利用されていたため、入手しやすいこともメリットと言えます。
ちょっと変な匂いや味がしても、世に「良薬は口に苦し」とはよく言ったもの。劇中の義時も、実に渋い顔で飲まされていました。
(しかし、あんな露骨にやればバレるに決まっています。食事とかに少量ずつ混ぜた方がバレにくかったのでは……)
他に「麻」と表現される毒物が見当たらない(※)ので、恐らく“のえ”が義時に盛ったのは大麻を煎じるなどしたものであろうと思われます。
(※)触れる(液嚢を破る)と強い痛みを伴う蕁麻(イラクサ)、覚醒剤成分エフェドリンを含む麻黄(マオウ)かも知れませんが、ハッキリしたことは不明です。
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終わりに
……只早頭をきれ、若不然は又義時か妻か義時にくれ遣さむ薬されこるてくはせて早ころせ……
【意訳】早く首を刎ねろ。さもなくば、義時の妻(伊賀氏・のえ)が義時に飲ませた薬=毒を飲ませて早く殺すがいい。
※『明月記』安貞元年(1227年)6月11日条
これは承久の乱に敗れ、6年間にわたる逃亡生活の末に捕らわれた尊長(そんちょう)の発言。鎌倉幕府の公式記録『吾妻鏡』では病死とされているのに、御家人たちは大いに驚いたと言います。
果たして“のえ”は本当に義時を毒殺したのか、もしそうなら動機は何なのか(※)、今後の究明が俟たれます。
(※)義時が長庶子・北条泰時(演:坂口健太郎)に家督を譲ることが不満で、その泰時が鎌倉不在の間に北条政村(演:新原泰佑)を跡継ぎに推そうと企んでいたのかも知れませんね。
※参考資料:
- 大麻合法化論を考える 本当に害は小さいのか、医療目的の使用の是非は?
- 藤原定家『明月記 第三』国書刊行会、1912年2月
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