NHK大河ドラマ「どうする家康」皆さんも楽しんでいますか?筆者は毎週楽しみに注目しています。
さて、織田信長(演:岡田准一)と言えば徳川家康(演:松本潤)のトラウマもとい盟友(ほぼ主君?)として君臨する強大な存在。
戦国乱世を切り拓く革新者である一方、非常に気難しく、理解しがたい言動もしばしば。まさに「天才と何とかは紙一重」を地で行くようです。
劇中でも登場すればたいてい不機嫌で、剣呑な空気を漂わせている信長。しかし史料や文献をみれば、けっこうお茶目な素顔も見せてくれます。
そこで今回は江戸幕府の公式記録『徳川実紀(東照宮御実紀)』より、家康たちと楽しんだとある一日を紹介。果たして大河ドラマでは描かれるのでしょうか。
安土城で家康たちを出迎える信長
……五月 君右府の居城近江の安土にわたらせたまへば。穴山梅雪も志たがひ奉る。右府おもたゞしき設ありて幸若の舞申楽など催し饗せられ。みづからの配膳にて御供の人々にも手づからさかなを引れたり。……
※『東照宮御実紀』巻三 天正十年「家康赴安土城」
時は天正10年(1582年)5月。家康は信長が本拠地としている近江の安土城へ遊びに行きました。
この時、武田の滅亡時に降伏した穴山梅雪(演:田辺誠一)も一緒です。
「おぉ、よう参った!」
家康たちを迎える信長は上機嫌。豪勢な宴席を設けてもてなします。
美酒に珍味の振る舞いはもちろん、信長が日ごろ愛好している幸若舞(こうわかまい)や猿楽(さるがく/さるごう)なども披露されました。
♪人間五十年、下天の内を比ぶれば、夢幻の如くなり……♪
信長がかつて桶狭間の決戦を前に舞ったという「敦盛(あつもり)」など、数々の名演が披露されたことでしょう。
後に天下をとった羽柴秀吉(演:ムロツヨシ)も能楽を好み、自らも演じたと伝わりますが、権力者が芸能を好むのは興味深い傾向ですね。
「さぁさぁ、もっと食え!」
信長は上機嫌で家康の家臣たちにも酒や料理を振る舞い、なんと自ら盛りつけ、配ったと言います。
「これは右府(右大臣。信長)様御自ら、まこと恐悦至極……」
「堅苦しい礼儀は抜きじゃ。者ども、遠慮はするな!酒も肴もたんとあるぞ!」
「「「は、ははあ……」」」
こうして安土城の一日は楽しく暮れていったのでした。
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終わりに
その後、信長と家康&梅雪たちはそれぞれ京都へ物見遊山へ参ります。
「あぁ楽しかった。徳川殿、また呑もうぞ」
「はい、喜んで」
二人はそれぞれ別行動をとるのですが、これが永の別れとなったのでした。
本能寺の変(天正10・1582年6月2日)で信長が明智光秀(演:酒向芳)に暗殺される、わずか半月ばかり前のことです。
今までずっと恐ろしかった信長と、心から楽しんだであろう安土城の一日。
よくドラマ等では、退場する直前にいきなりいいヤツになって視聴者の感情移入を誘いますが、本作の岡田信長はどうでしょうか。
一日ずっと笑顔の信長。ちょっと見てみたいような、やっぱりおっかないような……楽しみですね!
※参考文献:
- 『徳川実紀 第壹編』国立国会図書館デジタルコレクション
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