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【大河べらぼう】蔦屋重三郎「ありがた山の寒がらす」とは何?わかりやすく解説!

伝承民俗
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吉原を救いたい一心で、商売敵であった岡場所や宿場の警動(けいどう。取締)を田沼意次(渡辺謙)に直訴したものの、逆に諭されてしまった蔦屋重三郎(横浜流星)。

「ありがた山の寒がらす!」

※NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華之夢噺~」第1回放送「ありがた山の寒がらす」より

目からうろこが落ちた思いで感謝を述べたこのセリフ、いったい何なのでしょうか。

今回はこの「ありがた山の寒(かん)がらす」について、わかりやすく解説したいと思います。

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「ありがた山の寒がらす」とは

パッと見て「ありがたや(ありがたい)」の語尾と「山(やま)」の頭文字をひっかけて「ありがた山」、それ以降は語呂合わせだから別に何だっていいのでしょう?と思われたそこのあなた。

その通りです。

実在する「ありがた山」は無関係

ただし「ありがた山」という山は実在しており、現在の東京都稲城市矢野口にある通称「南山(みなみやま)」を指します。

このありがた山には石仏や墓石がまとめて供養されているのですが、残念ながら蔦屋重三郎が言っているのはここではありません(当時は存在していません)。

蔦屋重三郎が言っている「ありがた山」とはあくまでダジャレであり、実在する「ありがた山」が出来たのは昭和時代でした。

「ありがた山」に続くあれこれ

ちなみに「ありがた山の~」以降はさきほど言ったとおり何でもよく、ありふれた鳥である鳶烏(とんび・がらす)や時鳥(ホトトギス)も使われています。

変わり種では「宝心丹(ほうしんたん。豊心丹、宝珍丹)」という丸薬バージョンもありました。山から薬が採れたのでしょうか。

せっかくなので「寒がらす」についても軽く解説しておくと、その名の通り寒い時期に見かける烏を言います。寒鴉(かんあ)という別称もお洒落ですね。

「ありがた山の」~その初出は?

かくして生まれた「ありがた山の寒がらす」。その初出については諸説あります。

……「よしよし。是は有難山のほうちんたん」と、茶づけにしてざらざら……

※夢中山人の洒落本『南閨雑話(なんけいざつわ)』安永2年(1773年)刊

……これはありがた山のとんびからす……

※恋川春町の黄表紙『金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)』安永4年(1775年)刊

NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華之夢噺~」の第1回放送「ありがた山の寒がらす」では、このセリフが発せられたのは安永2年(1773年)という設定でした。

そのため蔦屋重三郎は『南閨雑話』かその辺りの書籍から、最先端?のギャグを採り入れていたのかも知れませんね。

こんなとこにも「ありがた山」

せっかくなので、こちらにも「ありがた山」があったので紹介しておきます。

……おっと、ありがた山と内へかへり……

※志丈の咄本『寿々葉羅井(すすはらい)』安永8年(1779年)

……ヲット有がたやま猫(山猫)だ……

※遠楼亭主人の洒落本『面和倶噺(おもわくばなし)』文化3年(1806年)

こういう親爺ギャグって、意外と流行り廃りなく、しぶとく生き延びるものですよね。

終わりに

今回は蔦屋重三郎が言っていた「ありがた山の寒がらす」について解説してきました。

NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華之夢噺~」では、江戸っ子ならではのダジャレがたくさん登場すると思われます。

これからもたくさんのダジャレが横浜流星の口から飛び出すことでしょうが、どうか最後まで、苦笑い交じりにお付き合いください!

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