「あのボンクラが、またやらかしたらしいぞ」
最近あまり聞きませんが、愚鈍な人物を指して「ボンクラ」と言うことがあります。
このボンクラって、どういう意味なんでしょうか。
夏のお盆と何か関係があるのかも知れません。
という訳で今回はボンクラの語源を調べてみました。
雑談のネタにでもなれば幸いです。
ボンクラにまつわる諸説
ボンクラの語源には諸説あるようで、まずはいくつか集めてみました。
- 盆暗?
- 盆蔵?
- 坊暗?
- 坊盲?
- フランス語に由来?
- 英語に由来?
※もし他にもご存じでしたら、ご教示いただけたら幸いです。
それぞれ見てみましょう。
盆暗(ボンクラ)説
ここで言う盆とは、食器を載せるお盆や夏のお盆ではなく、鉄火場(博打場)を指す隠語です。
博打は目先の手札や賽子(サイコロ)の目だけではなく、場(の空気)を読まなくては勝てません。
それを何の見通しもなく、闇雲に勝負する愚かさをボンクラと呼んだのでした。
盆蔵(ボンクラ)説
この盆は夏のお盆を意味します。蔵は倉庫の蔵ですね。
蔵を建てるには防火のため土壁を塗るのですが、お盆の時期というか夏は湿度が高く、なかなか土が乾きません。
なかなか工事が進まない遅さに加え、乾いても表面しか乾かず、中は湿ったままで脆い状態です。
だからお盆の時期に建てた脆い蔵になぞらえて、脆い人物をボンクラと呼んだのでした。
坊暗(ボンクラ)説
坊(ぼん)は子供を指す「坊(ぼう)や」「お坊(ぼ)っちゃん」などの訛りです。
未熟な子供は道理に明るくない=暗いので、大人になっても未熟な人間をボンクラと呼ぶようになったと言います。
坊盲(ボンクラ)説
こちらの坊は坊主(僧侶)を指しています。
昔は盲目の人が出家して按摩師(あんまし。マッサージ屋)や楽師(三味線、琴など)になることが多くありました。
坊主が盲(めくら。目暗)だからボンクラ……という訳ですが、現代では受け入れられない差別的な価値観でしょう。
また彼らの多くは専門の職能を持っていらため、愚鈍な人物の表現としては不適切と言えます。
ボンクラはフランス語に由来?
フランス語に「Bon Courage(ボン・クラージェ)」という言葉があり、これは「頑張れ」「しっかりしろ」という意味だそうです。
直訳すると「よい(Bon)勇気を(Courage)」という意味になり、これが縮まってボンクラになったのだとか。
「このボンクラ、しっかりしろ!」
ただバカにするのではなく、相手に対する叱咤激励のニュアンスになりますね。
ボンクラは英語に由来?
これは完全に嘘なのですが、X(旧Twitter)にこんな投稿がありました。
面白かったので、あえて載せておきます。
@ShugoAbc
ボンクラって言葉あるでしょ。
あれって実はアメリカが語源なの知ってた?
「ボーンクラッシュ」の略称で”お前は何にも出来ねぇな!身体中の骨が砕けてんのか?”って意味なんだよね嘘なんだけどね。
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9:52 PM · Mar 27, 2022※太字部分は引用者。
こういう何てことのない思いつきが、数十年後、数百年後に「諸説」の仲間入りしているかもしれませんね。
終わりに
今回はボンクラについて、諸説を集めてみました。
筆者的には最初の「盆暗」なんじゃないかと思いますが、皆さんはどう思うでしょうか。
身の回りの言葉にはそれぞれ語源があるので、他にも色々調べてみたいと思います。
※参考文献:
- 日本語倶楽部 編『語源500 面白すぎる謎解き日本語』河出書房新社、2019年8月
- 豊島建吾 編著『語源ものしり辞典 よく使われる言葉の意外な由来』大和出版、1987年11月
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