New! 走り大黒こと伽藍神とは?

【歴史旅】いつも全力疾走!奈良国立博物館で「走り大黒(伽藍神立像)」を拝んできました

歴史旅
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先日、奈良国立博物館を見学してきました。

残念ながら「超!国宝」展の準備で本館は休館でしたが、金峯山寺から遊びに来ている金剛力士像など、見事な仏像たちを拝めて満足です。

今回紹介するのはそんな一体、通称「走り大黒」こと「伽藍神立像(がらんしんりゅうぞう)」を紹介。果たしてどんな神様なのでしょうか。

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全力疾走する神様

走り大黒と呼ばれた伽藍神立像(収蔵品番号一〇七七 彫九六)。奈良国立博物館にて、筆者撮影。

右腕を大きく振り上げ、左袖を舞わせて走るその姿が強烈なインパクトを残すこの像は、烏帽子や衣服から大黒様であろうと考えられました。

大黒様と言えば打出の小槌に大きな袋を背負い、ニコニコ笑顔が特徴ですが、彼は笑顔ではありません。

流石の大黒様から笑顔も消えてしまうほどの緊急事態とはいかなるものか……造り手はどのような心境だったのでしょうね。

作者は不明のようですが、鎌倉時代(13世紀)に木造彩色されたものと言います。

釘を刺す神様

永らく「走り大黒」として定着していたものの、近年の研究では禅宗寺院を守護する伽藍神(がらんしん)ではないかと考えられるようになりました。

伽藍とはざっくり言うと寺院の境内や建物。伽藍神は寺院じゅうを駆け回って、日夜守護しているというのです。

具体的に何をするのかと言えば、境内で修行をサボっている者を発見すると、駆け寄って「釘を刺す」のだとか。

これは比喩なのか、それとも本当に釘を刺すのか……痛そうですね。

伽藍神様に釘を刺されぬよう、皆様お気張りくださいね。

終わりに

迫りくる伽藍神立像(収蔵品番号一〇七七 彫九六)。その手に金槌と釘が握られていると思うと、かなり怖い。奈良国立博物館にて、筆者撮影。

以上を踏まえて、もう一度「走り大黒」改め「伽藍神立像」を見てみると……。

もしかしたら、大きく振り上げた右手には金槌が握られ、左手には釘が仕込まれていたのでしょうか。

「修行を怠けてるヤツぁ、いねぇかぁ~っ!」

こんなのが四六時中境内を全力疾走していたら、おちおち修行をサボっていられません。

今回は仏像の一つ「伽藍神立像」をピックアップしましたが、改めて鑑賞すると、神仏の像は実に味わい深い表情を見せてくれます。

また紹介するので、ご期待くださいね!

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