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江戸時代に人魚が出没?瓦版「越中人魚図」を読んでみた

伝承民俗
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江戸時代、庶民の情報源として重宝された瓦版(かわらばん)。

その紙面にはさまざまなトピックが挿絵つきで描かれ、人々を楽しませてきました。

今回は越中国(富山県)で発見されたという人魚のニュースを紹介。果たして本当なのでしょうか。

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「人魚図」原文

早稲田大学演劇博物館 蔵「人魚図」

人魚図(にんぎょのず)
一名海雷(いちみょう、かいらい)
越中国放生渕四方浦ト申所ニて(えっちゅうのくにのほうじょうがぶち、よものうらともうすところにて)
猟舩を奈やましさまたげ候■鉄炮四百五十挺ニ而うちとめる(ぎょせんをなやまし、さまたげそうろう■、てっぽうよんひゃくごじっちょうにてうちとめる)
頭 三尺五寸(かしら さんじゃくごすん)
丈 三丈五尺(たけ さんじょうごしゃく)
髪ノ毛 長サ壹丈八尺(かみのけ ながさ いちじょうはっしゃく)
両腹ニ目三ツ■有(りょうのはらに、めのみつ■あり)
角丸ク二本金色■(つのまるく、にほんこんじき■)
下腹朱の如く赤き■(したばら、しゅのごとくあかき■)
鰭尓唐■の如キ筋有(ひれにとう■のごときすじあり)
尾ハ鯉のごとく(おはこいのごとく)
奈くこえハ壱里もとどき候(なくこえは、いちりもとどきそうろう)
此魚を一度見る人ハ(このうおをひとたびみるひとは)
寿命長久し悪事(じゅみょうちょうきゅうし、あくじ)
災難をの可”れ一生仕合(さいなんをのがれ、いっしょうしあわせ)
よく福徳幸を■ると(よく、ふくとくさいわいを■ると)
奈り(なり)
文化二丑五月(ぶんかにねん、うしどしごがつ)

※読み仮名は便宜上加えたものです。

「人魚図」意訳

筆者による注釈

人魚の図。またの名を海雷(かいらい)ともいう。

越中国放生渕(ほうじょうがふち)四方浦(よものうら/よかたうら。富山市四方)という場所で漁業を妨げ、悩ませたため、漁師らが鉄砲450挺を撃ちかけて仕留めた。

頭の大きさ:約106センチ(3尺5寸)

身体の長さ:約10.6メートル(3丈5尺)

頭髪の長さ:約5.45メートル(1丈8尺)

腹の両側に三つの眼がついており、頭には先端の丸い金色の角が二本生えている。

下腹は朱のように赤く、ヒレには太い筋が入っていた。

その尾は鯉のようで、鳴き声は一里先まで届くほど大きいという。

この魚を一度見た人は寿命が延び、悪事や災難を逃れ、一生幸せに福徳を授かるそうだ。

文化2年(1805年)5月

ツッコミもとい解説

……ということです。見れば幸せになれると言いますが、それを撃ち殺してしまっても大丈夫なのでしょうか。

また鉄砲450挺って、みんなで寄ってたかって撃ちかけた様子がうかがえます。

漁業の邪魔をされたのが、よほど憎らしかったのでしょうね。

肥後国海中の怪(アマビエ/アマビヱ)(画像:Wikipedia)
横腹に三つの目を持つ白澤。福原五岳『白沢避怪図』画像:Wikipedia

見れば幸せになれるという点はアマビエに、横腹に三つの眼がある点は白澤(ハクタク)に似ています。

体長約10メートルの海にいる生き物と言えば、まずクジラを連想しますが、角が生えている&長い髪をのばしているのは何なのでしょうか。

龍のようにも思えますが、顔面部分が損傷&腐敗していたため、想像で補われたのかも知れません。

江戸時代には他にも妖怪変化や瑞兆などが報道されたそうなので、また紹介したいと思います。

※参考:

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