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「鎌倉武士の鑑」畠山重忠(中川大志)はなぜカッコいいのか。『吾妻鏡』をひもといたおすすめエピソード3選【鎌倉殿の13人】

大河ドラマ
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三浦義村「お前は裏で動くには見栄えが良すぎる」

畠山重忠「そうですか、やはり見栄えが……」

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、劇中でそんなやりとりが交わされたシーンは、多くの視聴者に反響を呼びました。

「やっぱり見栄えがいいことを自覚していたのか」

中川大志さん演じる畠山重忠。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」公式サイトより

まぁ、演じている中川大志さんがカッコいいから……というのはさておき、史実の畠山重忠(はたけやま しげただ)もカッコよかったことが『吾妻鏡』に残されています(だから中川大志さんがキャスティングされた、とも言えますが)。

容姿については写真がないので肖像画なら何とでも描けますが、畠山重忠はその立ち居振る舞いがカッコいい。だからこそ「鎌倉武士(坂東武者)の鑑」と謳われ、数百年を経た令和の現代でも多くの日本人に愛され続けているのです。

もちろん筆者も畠山重忠を敬愛してやまない一人ですが、今回はいったい彼の何がそんなにカッコいいのか、『吾妻鏡』からエピソード3選を紹介。

少しでも畠山重忠の魅力について共感の輪が広がり、その遺徳に思いを馳せていただけましたら幸いです。

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畠山重忠のココがカッコいい!その1:梶原景時の讒訴に堂々たる答弁

源義経(演:菅田将暉)をはじめ、多くの御家人たちを讒訴(ざんそ。相手を陥れるための偽りの訴え)で破滅に追い込んだ梶原景時(演:中村獅童)。重忠もその標的にされてしまったことがありました。

「もし謀叛を起こすつもりがないならば、それを神仏に誓う起請文を書け」

そう詰め寄る景時に対し、重忠はこれをキッパリと断ります。

どんな時でも堂々とした立ち居振る舞いが重忠の魅力。歌川貞秀筆

「起請文というのは、心に偽りのある者が書くもの。この重忠が今まで忠義一筋に励んできたことは、天下の誰もが知っていること。どんな言葉よりも行動が潔白を証明している以上、起請文など、書く必要がありません。
そもそも武士たるもの、暴力ずくで庶民の財産を強奪することは恥とすべきですが、謀叛の噂は(主君にとって代わる実力が認められている訳だから)かえって名誉というもの……これが答えにございます」

それでもまだ疑うなら、本気で一戦お相手致そう……そんな重忠の潔い自信を裏づける実力に恐れをなしたかなすまいか、果たして重忠は無実を勝ち取ったのでした。

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畠山重忠のココがカッコいい!その2:仲間の抜け駆けを見逃す度量

奥州の雄・藤原泰衡(演:山本浩司)を討伐するべく合戦(阿津賀志山の戦い)を控えた前夜のこと。

「殿、三浦の軍勢7騎が抜け駆けしました!」

重忠は先陣を承っていましたが、手柄を立てたい若武者たちが夜陰に乗じて敵に奇襲をかけようとしていたのです。

「今すぐに追いかけ、彼奴らの進路を阻みましょうぞ!」

郎党は手柄を横取りさせまいと急かしたものの、そこは重忠あわてず騒がず。

仲間の足を引っ張るなんて卑怯なことはしない重忠。楊洲周延筆

「よいか。此度の戦さはこの重忠が先陣を承ったのだから、誰が抜け駆けしようが彼らの立てた手柄はすべて将たる自分に帰するものである。また、主君に忠義を尽くして手柄を求める仲間を邪魔するのは、武士としてすべきことではない。よいから放っておけ。我れは寝る」

まぁ何とも胆の据わった大将だ……果たして戦闘が開始され、郎党の大串次郎重親(おおくし じろうしげちか)が敵の大将・藤原国衡(演:平山祐介)を討ち取ってその首級を持ってきました。

「さすが重忠、ようやった……」

源頼朝(演:大泉洋)のお褒めに与っていたところ、和田義盛(演:横田栄司)が異議を唱えます。

「しばらく!国衡はそれがしの矢に深手を負い、それがために討ち取られしものと存ずる」

検分させてみると、確かに義盛の証言通りに矢が刺さっていました。

「……重忠。そなたは矢を放ったか」

頼朝の質問に対して「いえ。それがしはただ大串より首級を受け取ったまで」と正直な回答。こういう場合、大抵の者は「いや、これはそれがしの射た矢だ」などと自身の手柄を逃すまいと強弁するところを、実に潔い重忠でした。

手柄が欲しけりゃ、自分でいくらでも立ててみせる。和田殿の手柄と判った以上、首級はただちにお返ししよう。そんな態度に、訴え出た義盛の方が気まずかったかも知れません。

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畠山重忠のココがカッコいい!その3:暴漢を座ったまま片手でねじ伏せる

時は正治2年(1200年)2月2日、先月に滅ぼされた梶原景時の残党として、勝木七郎則宗(かつき しちろうのりむね)の逮捕が命じられました。

「この野郎、捕(や)れるモンならやってみやがれ!」

この則宗は相撲の達者、現代の感覚に喩えるならプロの格闘家と言ったところ。それが刀を抜いて暴れまわったものですから、捕縛を命じられた波多野三郎盛通(はたの さぶろうもりみち)はじめ捕手は近づくこともままなりません。

「邪魔だ、どけ!」

捕手が怯んだ隙に逃走を図る則宗。走った先には重忠が座っていました。

立ち居振る舞いも爽やかに洗練された畠山重忠。菊池容斎『前賢故実』より

「……ふんっ」

重忠はおもむろに左手を伸ばすと則宗の右手首をつかんでねじり上げ、その腕をへし折ってしまいます。座ったままで。

「ぎゃあ……っ!」

果たして捕らわれた則宗。何とか任務を達成できた波多野盛通ですが、それを妬んで告げ口する者が現れます。

「本当は畠山殿が捕らえたのに、どうして恩賞を波多野殿が受け取るのか」

これは重忠の有利を計らうように見せかけて、本心は盛通の足を引っ張りたいだけ。そんな卑しさを見抜いた重忠は、証言を求められた時に

「本件につき、波多野殿が命を受けたと聞いております。事の経緯はよく存じませぬが、命の通り遂行されたのですから、恩賞は波多野殿が受ければいいのではないでしょうか」

さすがは重忠、どこまでも裏表のない態度に、誰もが称賛を惜しまなかったということです。

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終わりに

以上、数ある畠山重忠のカッコいいエピソードからおすすめ3選をピックアップしてきました。

どこまでも強く、どこまでも真っ直ぐな態度こそが魅力の源泉。しかしその強さゆえに妬まれ憎まれ、その真っ直ぐさゆえに破滅に追い込まれて(というより、罠と知りながら破滅を選んで)しまったのです。

正直、畠山重忠のカッコいいエピソードだけで大河ドラマ1本は作れる。はず。本作はまだまだ彼の魅力を引き出し切れていません(※個人の感想です)NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」公式サイトより

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも、その美しい散り際がこれでもかと描かれ、多くの重忠ロスを生み出すことは間違いありません。

まだまだ伝えきれない畠山重忠のカッコよさ。いつか彼が主役の大河ドラマを誰か描いて欲しいものです。

※合わせて読みたい:

※参考文献:

  • 清水亮『シリーズ・中世関東武士の研究 第七巻 畠山重忠』戎光祥出版、2012年6月
  • 清水亮『中世武士 畠山重忠 秩父平氏の嫡流』吉川弘文館、2018年10月
  • 貫達人『人物叢書 畠山重忠』吉川弘文館、1987年3月

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畠山重忠のカッコよさを、マンガ『吾妻鏡』でも!

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