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魚・鶏肉料理はどう食べる?北条重時『六波羅殿御家訓』のアドバイスは役に立つのか

鎌倉時代
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みんなが気持ちよく暮らすために生まれ、永い歴史の中で確立されてきたマナーやエチケット。

特に食事のような本能に影響する部分は育ちが表れやすく、よりセンシティブな対応が求められます。

しかし「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と言うように、あまりマナーにこだわり過ぎるのも嫌味というもの。

北条駿河守重時。『義烈百人一首』より

では、どのようにすればいいのか……鎌倉時代の御家人・北条重時(ほうじょう しげとき。義時三男)もそんなテーマに悩んだ一人でした。

今回は重時が子供たちに書き残した『六波羅殿御家訓』より、魚や鳥肉料理が出たときのマナーについて紹介。皆さんなら、どのように食べますか?

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気取り過ぎず、ワイルド過ぎず……

一 魚・鳥ノアランヲ、ハウニスキテ、ヲシキリヲシキリ能カマシク食事アルヘカラス、サレハトテ、ハサキヲクヒキリテ、舌ノサキニ懸テ、ナフリナントスヘカラス、男々シカラス、タヽヨキ程ニ計ヘシ、

※『六波羅殿御家訓』第27条

【読み下し】魚、鳥のあらんを、法に好きて、御仕切り御仕切り能(のう)がましく食事あるべからず。さればとて、羽先を食い切りて、舌の先に懸けて、なぶりなんとすべからず。男々しからず、ただよき程に計らうべし。

鳥肉を調理。狩野元信『酒飯論絵巻』より

【意訳】魚や鳥肉料理が出された時、お上品に過ぎて、しきたりがしきたりがと出来るヤツぶった食事をしてはならない。だからと言って、逆に手羽先を食いちぎり、舌でベロベロと舐(なぶ)るような食い方もいけない。それがワイルドで男らしいと思うかも知れないが、かえって台無しになってしまう。周囲に合わせてほどよい食べ方をすべきである。

……何の具体策もないではないか!とツッコミを入れたくなったのは、きっと筆者だけではないはず。

とは言え出された料理の量も形状も、そして同席するメンバーもケースバイケースですから、その場に応じてほどよくフォーマルかつカジュアルな食事を心掛けよとしか言えません。

それでも、こういう教訓を一度でも見聞きしておくことで、いざその場で思い出せることもあるでしょう。

要は「周囲から浮かない範囲で、なるべく品よく食事せよ」と言いたかったのだと思われます。

魚を調理。法印養信 「七十一番職人歌合」

郷に入っては郷に従え……筆者も好きな言葉です。ワイルド過ぎる鎌倉武士たちに頭を抱えた重時が、子供達に「頼むから、あぁはならんでくれ」と願いながら家訓を記した姿が目に浮かぶようですね。

※参考文献:

  • 桃裕行 校訂『北條重時の家訓』養徳社、1947年10月
  • 『増補改訂 武家家訓・遺訓集成』ぺりかん社、2003年8月

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